2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J01696
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
高崎 竜司 岡山理科大学, 岡山理科大学生物地球学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 鳥盤類 / ハドロサウルス科 / 採餌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は国内でアクセス可能なハドロサウルス科のクチバシ形状及びし四肢骨長のデータを取得し,事前に持っていたデータと合わせて予察的な解析を行った.解析の結果,クチバシ形状及び四肢骨長比は分類群及び環境によって異なる可能性が示唆された.環境の影響は四肢骨長比で特に大きく見られた.一方で,クチバシ形状は環境に依って違いが見られず,分類群の違いが大きく反映された.これらは,採餌行動において餌に近づく「接近フェーズ」においては地形などの環境が影響する一方で、餌を口に含む「摂餌フェーズ」においては分類群毎に違う物を食べることで競争を回避していた可能性を示唆する.ただし,現時点においてはサンプルサイズが小さい事もあり確実なことは言い難い. 上記解析に加えて、系統分類に用いる形質を使って,ハドロサウルス科のクチバシと四肢の進化速度の推移を追った.解析の結果,ハドロサウルス科に至る分岐で進化率が大きく上昇する事が判明した.特に四肢骨において進化率の変動が大きく,この結果は二足歩行から四足歩行への進化と対応している可能性が考えられる.また,進化率が大きく上昇するタイミングは,申請者らの先行研究で示唆されたハドロサウルス類が海岸環境に生息していた時期と一致しており,海岸環境への適応がハドロサウルス科の進化を促した可能性を示唆する.これらの解析の一部は国際誌に投稿・受理済みである. 加えて,今年度は岡山理科大学が保有するハドロサウルス科化石の記載分類を開始した.本標本は北米から近縁種が多産する種であり,発見された地層からはこれまで報告されていない分類群であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,立案当初の予定より遅れている.原因はコロナ禍による渡航制限である.今年度中に予定していた北米を中心とした研究機関での標本調査と,モンゴルゴビ砂漠における野外調査の実施が不可能であった.加えて,当初予定していたモンゴルの鳥脚類の記載分類開始も延期した. 問題を回避するために,今年度中は可能な限り国内で収集可能なデータを集め,予察的な解析に終始した.結果として研究課題達成における障害を特定・解決方法を模索できたこと,今後必要なデータが明確になったこと,そして研究開始当初は見落としていた重要な標本の発見及び記載を開始したことから,計画通りではないが、総合的に見てある程度は推移していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による渡航制限次第で二通りの計画を用意している.渡航制限が完全に解除された場合,当初の計画に合流し,北米を中心とした研究機関を訪問し,必要なデータの取得を試みる.既に得られた予察的な結果から,ある程度の結果が予想できるため,十分量のデータが取得できれば迅速な研究発表が期待できる.さらに6月にはモンゴルでの野外調査を行う. 渡航制限が解除されない場合に向けて,各国の研究協力者にデータ収集補助の打診をしている.必要なデータが全て集まるわけではなく,自身で取得する訳ではないためデータの統一性に問題が生じうるが,詳細なマニュアルを作成することによってデータ取得者依存のデータのブレの最小化を試みる.一方でモンゴルの野外調査に関しては他者に委任することが出来ない為,再来年度に計画を延期することになる.モンゴルの標本記載に関しても協力者にデータ収集補助を依頼するが,記載分類は直接の観察が必要不可欠なため,作業の大部分は再来年度に持ち越すこととなる.一方で岡山理科大学が所有するハドロサウルス科標本の研究に関しては一切の支障が無いため,渡航制限が解除されない場合,次年度はこの標本の記載分類を中心に行う予定である.
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Research Products
(5 results)