2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20J01696
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
高崎 竜司 岡山理科大学, 岡山理科大学生物地球学部生物地球学科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 鳥盤類 / 食性 |
Outline of Annual Research Achievements |
長引く渡航制限を受けてデータ収集が滞る中、海外在住の協力者の力を借りる事で必要なデータが集まりつつある。これら、新たに得たデータはこれまでの予察的な解析の結果を支持する事が判明した。すなわち、ハドロサウルス科において、亜科レベル(ハドロサウルス亜科・ランベオサウルス亜科)及び生息環境(海岸より・内陸より)の違いによって異なる採餌行動をとる可能性が提示された。特に亜科レベルの違いが大きく、これらの違いは二つの異なるハドロサウルス科のグループが同時期・同所的に生息する際に餌資源の競合を減らす上で重要な役割を果たしていた可能性が考えられる。この結果の一部は2021年度中に国際論文雑誌で発表した。また、2021年度には岡山理科大学が所蔵するハドロサウルス科恐竜類の記載・分類を行い、国際学会で発表した。我々の研究によって岡山理科大学が所蔵する標本はコリトサウルス属に分類されることが初めて明らかとなった。特に新たに同定されたトサカの一部である前上顎骨及び鼻骨の構造(大きく湾曲した前上顎骨・立縦幅が大きく、側面の空隙が埋まっていない鼻骨)が同定の鍵となった。コリトサウルス属はカナダで最も多く見つかる恐竜の一つとして知られるが、岡山理科大学が所蔵する標本は国境を越え、アメリカ合衆国側で初の産出例となる。これは、コリトサウルス属が海岸線沿いにおおよそ350km以上の分布域を持っていた可能性を示唆する。これらの研究成果は2022年度中に国際論文雑誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点ではハドロサウルス科のデータ取得は完了したが、他の分類群(ケラトプス科・アンキロサウルス上科)のデータ取得が遅れている。これは新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な渡航制限及び各国の研究施設・設備の利用制限によって必要なデータの取得が妨げられているため。ハドロサウルス科に関しては以前取得したデータ及び共同研究者の協力によって必要なデータが得られたが、他の分類群に関しては来年度以降、施設の各国施設の利用制限などが解除された後にデータを取得する必用がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはハドロサウルス科の解析結果及びコリトサウルス属の記載論文の出版を目指す。他の分類群に関しては各種制限が解除され次第データの取得を試みる。ハドロサウルス科を中心に解析手法の目処はついているため、最大の困難はデータの取得となる。制限解除に先立って文献調査から必要なデータを可能な限り集め、予察的な解析から傾向を読み解くことで効率的なデータ収集及びその後の解析に備える。
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