2021 Fiscal Year Annual Research Report
多発性筋炎における運動の抗炎症及び抗酸化機序の解明
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20J01754
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
檜森 弘一 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 多発性筋炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、多発性筋炎による筋力低下のメカニズムを解明し、安全かつ有効な治療法を確立することである。令和3年度は、伸張性収縮トレーニングが多発性筋炎による筋力低下を抑制するメカニズムを生化学的手法を用いて検討するとともに(実験1)、多発性筋炎よる筋力や筋量の低下メカニズムについて、抗酸化物質の発現を調節する転写因子であるNrf2に着目して検討した(実験2)。実験1では、昨年度実施した多発性筋炎モデル(EAM)マウスに伸張性収縮を負荷したトレーニング実験の腓腹筋サンプルを用いて生化学的解析を行った。実験2では、まずC57BL/6JマウスにEAMを惹起した。次に、筋特異的Nrf2欠損(Nrf2mKO)マウスとその野生型同腹子を使用し、各マウスにEAMを惹起した。実験期間終了後、最大筋力を測定し、骨格筋を採取した。実験1の結果、伸張性収縮トレーニングは、EAMによる小胞体ストレスタンパク質(Grp78やGrp94)の増加を軽減するとともに、筋原線維に結合した低分子量熱ショックタンパク質(αB-crystallinやHSP25)の発現量を増加させた。実験2の結果、C57BL/6Jマウスでは、EAMにより最大筋力と筋量の低下が観察されたことから、C57BL/6Jマウスにおいても、Balb/cマウスと同様にEAMが引き起こされることが確認できた。さらに、Nrf2mKOマウスでは、野生型マウスと比較して、EAMによる最大筋力と筋量の低下が軽減した。上記の結果から、4週間の伸張性収縮トレーニングは、EAMマウスの骨格筋における小胞体ストレスの増大を抑制するとともに、低分子量熱ショックタンパク質による筋原線維の安定化を促進することで、筋力低下を改善することが示唆された。また、EAMによる筋力や筋量の低下メカニズムにはNrf2が重要な役割を果たすことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験1の生化学的解析に加え、次年度に予定していた実験2の遺伝子欠損マウスを用いた実験を実施することができた。このことから,当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、Nrf2mKOマウスでは、EAMによる筋力や筋量の低下が軽減された。今後、そのメカニズムを解明することを目的とし、生化学的解析や免疫組織化学的解析を行う。骨格筋組織に浸潤した炎症性細胞の分布や数を蛍光免疫染色やフローサイトメトリーを用いて評価する。また、骨格筋への炎症性細胞の浸潤を調節するサイトカインやケモカインのmRNA発現をPCR法を用いて評価する。
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Research Products
(6 results)