2021 Fiscal Year Annual Research Report
発がんにおけるDNA N6メチルアデノシンの意義:がん治療の新規作用点となるか?
Project/Area Number |
20J01824
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小林 良祐 群馬大学, 生体調節研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | メチル化 / CRISPR / がん / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトやマウスなどの哺乳動物細胞では、ゲノムDNA中のN6メチルアデノシン(6mA)の存在量はきわめて少なく、その生物学的意義はほとんどわかっていない。DNA 6mAの脱メチル化酵素阻害によりがん細胞の増殖を抑制できるという報告は、すなわちDNA 6mA低メチル化状態がエピゲノム脱制御を介してがんの発生や進行の原因になっていることを示唆するのではないか?本研究ではこの仮説を検証するため、DNA 6mA修飾との関連が報告されている遺伝子に関する遺伝子改変マウスモデルを作製及び解析することにより、6mA修飾と発がんとの関係を生体レベルで明らかにする。 2021年度はがん遺伝子やがん抑制遺伝子の候補についてin vivoで機能解析を行うための手法として、マウス子宮内膜in vivoゲノム編集法の確立を進めた。ゲノム編集が成功するとEGFPが発現するレポーターマウスを導入し、本手法によって子宮上皮細胞特異的なゲノム編集が可能であることを確認した。この技術を用いて、DNA 6mAと関連があるとされる遺伝子のノックアウトを試みたが、明確な発がん促進や抑制の証拠は得られなかった。 さらに、トランスポゾンによる核酸導入技術によってDNA 6mA関連遺伝子の強制発現マウスを作製し、発がんへの影響を確かめることを試みた。現在までに明確な表現型は得られていないが、今後は長期飼育した際の影響や、がんを発症しやすい遺伝条件(Ptenノックアウトなど)に導入した際の表現型を観察する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNA 6mAに関連があるとされる遺伝子についてノックアウトマウスなど複数のモデルを作製したが、がんに関する明確な表現型はいずれも得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な臓器におけるがんへの関与を確かめるため、DNA 6mA関連遺伝子に関するノックアウトマウスおよび強発現マウスをがん自然発症モデルマウス(Ptenやp53ノックアウト)と交配させ、各臓器における発がんへの影響を組織学的および分子生物学的手法により評価する。DNA 6mA関連遺伝子は、ヒストン修飾やRNA修飾など、DNA以外への作用も報告されているため、DNA修飾以外への影響についても調査する。
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Research Products
(4 results)