2022 Fiscal Year Annual Research Report
造礁サンゴの幼生におけるオプシンを介した光受容と光応答的な遊泳のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20J01841
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
酒井 祐輔 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | オプシン / サンゴ / 光受容 / 刺胞動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウスエダミドリイシ(Acropora tenuis)がもつオプシン類について、その光受容タンパク質としての分子特性を明らかにし、幼生の光応答行動や光に応じた産卵といった様々な生理機能への関与を明らかにすることを目的としている。当該年度は、前年度までに同定・クローニングをした複数のオプシンについて、詳細な分子特性の解析を進めた。まずは、昨年度に引き続き花虫綱特異的な”ASO_II”とよばれるグループに属するオプシンについて、可視光受容に必要な対イオンに着目した実験を進めた。このグループは、他の動物オプシンに保存的な対イオンとして機能するグルタミン酸残基(Glu94, Glu113, Glu292のいずれか)をもっておらず、その可視光受容メカニズムは不明であった。対象オプシンの野生型と部位特異的変異体を培養細胞で発現させ、抽出・精製したタンパク質の分光学的解析を行なった。一連の実験により、可視光受容に寄与するアミノ酸残基の同定など、ASO_IIにおける可視光受容メカニズムの一端を明らかにした。その他にも、既知の動物オプシンで見られないサンゴオプシンに特徴的な分子特性(分光学的特性および光依存的な細胞内二次メッセンジャー応答)を複数発見した。これらの結果は、光によるサンゴの生理機能制御を解明する足がかりとなるだけでなく、細胞機能を光で操作する光遺伝学ツール開発の萌芽にもなりうる。一方、昨年度までは新型コロナウイルス感染症の拡大の影響でサンゴ産卵期の採集調査を中止せざるを得ず、サンゴ幼生を用いた行動実験については実施できていなかった。今年度は採用期間中ではじめて幼生を用いた行動実験を実施し、採集したプラヌラ幼生個体が刺激光の波長依存的に行動を変えることを発見するなど一定の結果を得ることに成功した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)