2021 Fiscal Year Annual Research Report
ザーヤンデルード川とともに生きる人々の生態史から導き出される共的河川観の討究
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20J01879
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
西川 優花 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 水利権 / 水資源 / イラン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題の三年度目である本年度においては、当初の研究計画ではフィールドワークの結果をもとに研究成果の取りまとめを行うことを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により計画を変更し、フィールドワークを本年度に延期して実施する予定としていた。しかし、2022年9月に発生したイラン国内における女性のヘジャブ着用に関する大規模な抗議デモが生じ、現地調査は再度延期した。そのため、研究実施状況としては、日本国内において関連文献の精査や資料調査を行ったほか、関連法案についての翻訳作業を行なった。具体的には、1968年に制定された「水とその国有化法」(昨年度翻訳を実施)に続き1983年に制定された「水公正分配法」について、ペルシア語原典から日本語へ翻訳を行った。それに加え、当該法律制定以前から制定以降にかけての国家(公的権力)による伝統的水利権への介入の経緯について整理を行ない、「水公正分配法」が伝統的な水利権や水利慣行に対して与えた影響について分析を行なった。それにより、現在イラン国内において生じている水利権をめぐる争いについて、伝統的水利権と公的に制定された水利権との乖離を明らかにすることができた。今年度得られた成果の一部については、雑誌『東洋研究』に学術論文として投稿し、掲載された。そのほか、イスラーム地域研究・若手研究者の会および関西イラン研究会において研究報告を行い、意見交換を行ったことで、研究計画や執筆中の論考について考察を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年から生じた新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、本研究課題の遂行に必須である現地調査の実施の延期が続いたために進捗状況はやや遅れている。現地調査の延期の影響を補完するために、日本国内において先行研究の精査や文献資料の精査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、これまで現地調査を実施することができなかったものの、その代替として日本国内において可能な関連する文献や先行研究の精査を随時実施してきた。引き続き文献調査を実施しつつ、可能であれば現地調査を実施する。また、本年度までの成果として発表した論文の内容を博士論文の内容に組み込み、書籍として出版する準備を進める。
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