2021 Fiscal Year Annual Research Report
熱ストレスを活用した持久性トレーニングの効果および機序の解明
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20J01920
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
角 大地 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 暑熱環境 / 持久性運動 / 消化管機能 / 体温調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
暑熱環境下での運動は通常温度環境下での運動と比較して消化管機能の低下を亢進させる一方で、寒冷環境下での運動が消化管機能に及ぼす影響は不明である。そこで本年度では、異なる温度環境下での持久性運動が消化管機能に及ぼす影響を検討した。活動的な男性11名を対象に、持久性インターバルペダリング運動を通常温度環境(室温23℃、CON)、暑熱環境(室温35℃、HOT)または寒冷環境(室温10℃、COLD)において実施した。運動前後において採血を行い、腸損傷の間接指標である血中腸型脂肪酸結合タンパク質(I-FABP)濃度を測定した。また運動終了後において安定同位体(13C標識酢酸ナトリウム)呼気試験を用いて胃内容排出速度を評価した。運動に伴う直腸温(P =0.033)および血漿I-FABP(P = 0.004)の上昇はHOT条件が他の2条件と比較して有意に高値を示した一方で、これらの指標にCONおよびCOLD条件間での有意な差は認められなかった。運動終了後における胃内容排出速度はHOT条件が他の2条件と比較して有意に遅延した(P =0.006)。しかしながら、CONおよびCOLD条件間における有意な差は認められなかった。暑熱環境下での持久性運動は通常温度および寒冷環境下での運動と比較して消化管機能の低下を亢進させた。一方で、運動に伴う消化管機能の変化に通常温度および寒冷環境間での違いは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定・計画通り研究を遂行できている
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Strategy for Future Research Activity |
暑熱環境下での運動は消化管機能をより低下させることが明らかとなった。運動に伴う消化管機能の低下は、摂取した栄養素の消化・吸収速度を遅延させ、運動後の疲労回復に対して負に作用する。暑熱環境下でのトレーニング(暑熱馴化など)は多くの持久性スポーツ競技者が取り入れているトレーニング方法であることから、今後は暑熱環境下での運動に伴う消化管機能の低下を軽減させる方策が重要となる。 運動に伴う消化管の損傷には運動中の深部温の上昇が大きく影響している。そこで今後は暑熱環境下での運動時における深部温上昇の緩和させることにより、運動に伴う消化管機能の低下を軽減させるか否かを検討する必要がある。
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