2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J10112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀内 啓佑 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 住居法 / 住宅政策 / 同潤会 / 住宅営団 / アディソン法 / 中村寛 / 内田祥三 / レイモンド・アンウィン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度には、世界初の本格的な公営住宅政策の根拠法としても知られるイギリスのアディソン法や、その国庫補助の手引書である“Manual on the preparation of State-aided housing schemes”に着目し、大正期から昭和初期の日本において、内田祥三や中村寛といった人物によってその翻訳や公表が進められていたことを明らかにした。これらの人物は、同潤会の勤人向分譲住宅事業でも主導的役割を果たしていることから、本年度には、同事業おいて上述のアディソン法や“Manual”から得られた知見が活用された可能性の検証を試みた。 同事業の住宅地の計画では、経営面や景観に対する配慮から、多様なバラエティーを持つ平面形を敷地条件に応じて組み合わせるという手法が取られた。設計者である中村寛は同潤会の設立以前に欧米視察を経験しているが、そのなかでアディソン法策定の中心人物であるレイモンド・アンウィンに直接面会する機会を得ており、この設計手法はアンウィンから理論的影響を受けたものと推測される。一方、個別の住宅の設計では、日本の住宅が従来備え持つ間取りの開放性や、深い庇、縁などの諸要素の重要性を再評価したうえで、在来の住宅に存在する欠点を取り除くことが試みられた。この姿勢は、中村と同様に欧米諸国における視察を経験し、環境工学的視点から日本の気候風土に適合した住宅を建設すべきと主張していた藤井厚二の理論を参照したものであった。このように、勤人向分譲住宅の設計には、欧米諸国や国内で蓄積された知見が広く取り入れていた。 これまでの研究では、内田や中村が戦時期の住居法の立案活動でもリーダー的存在にあったことを指摘した。本年度の研究によって、その立案の前段階に、欧米諸国からの知見の摂取や、同潤会などにおける実践が存在したという実態が解明された。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)