2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞集塊の心筋分化誘導における剪断ストレスへの応答性評価に関する研究
Project/Area Number |
20J10116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋田 礼博 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞由来心筋組織 / 回転浮遊培養 / 心筋成熟 / 組織収縮 / 組織構造の空間的不均一 / 核ラミナ形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は回転浮遊培養にて板状の心筋組織が縮み、分厚い構造へと変化する現象を見出した。その上で今年度は当該現象と成熟化進行の関係についてより詳細の調査(静置培養との比較)を行った。その調査結果の要点をまとめると以下の通りとなった:①5日間の培養で、Day0~Day3にかけて組織投影面積が有意に減少した後、Day3以降心筋組織の成熟マーカー(β-Myosin Heavy Chain、Connexin-43)のタンパク形成量が有意に増加した。②組織が培地中に浮遊している間、液流による力学的負荷を受ける組織表面部分の細胞の核の形状が扁平したものとなっていた。③分化細胞が力学的負荷を受けたときに核膜に形成され、かつ心筋成熟の進行に寄与している核ラミナ(Lamin A/C)の形成が、回転浮遊培養にて顕著に多かった。 ①から組織が縮む現象が、心筋成熟のトリガーとなる因子であることが考えられた。また②から回転浮遊培養にて発生する液流が組織表面部分の細胞の核の形状および骨格構造を変化させ、組織構造の空間的不均一が発生することが示唆された。加えて心筋細胞の核の形状および骨格構造は細胞で生み出される収縮力の大きさにも影響することが知られている。これらを考慮すると、組織表面部分の細胞が組織表面方向に沿って収縮することで組織内部の細胞が圧迫されることが推察される。そして③からも裏付けられるように、組織内部の細胞でもLamin A/Cの形成が顕著となり、これが心筋成熟を引き起こしたものと考えられた。 以上の結果から、回転浮遊培養における「組織構造の空間的不均一の発生」が、心筋成熟を引き起こす重要な因子であることが示唆された。本知見は、今まで未解明であった回転浮遊培養の特性を初めて示しているという点で極めて重要なものであり、今後の組織培養工学の発展に大きく寄与するものであると考えられる。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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