2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J10147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中塚 成徳 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 頂点作用素代数 / スーパーW代数 / 表現論 / 共形場理論 / 高次元の場の理論 / 双対性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の目標では物理学者のGaiottoらにより発見されたスーパーW代数のアフィンコセット代数の間の双対性に関する予想を数学的に厳密に証明することであった。 本年度はその特別な場合であるFeigin-Semikhatov予想(A型正則スーパーW代数とA型副正則W代数の間の双対性に関する予想)をスーパーW代数の自由場代数とスクリーニング作用素を用いた表示を用いることで証明した。さらに、最も簡単な場合であるN=2超共形代数と、あるアフィン頂点代数の間に知られていた風間・鈴木構成とその逆構成を上述のA型正則スーパーW代数とA型副正則W代数の間の場合に拡張した。これにより、A型正則スーパーW代数の表現圏の振る舞いが良い(C2余有限かつ有理的)場合のレベルを特定した。(Thomas Creutzigと元良直輝との共同研究、Adv. Mathより出版)。また、一般の場合の証明につながるスーパーW代数のMiura写像の単射性を最も一般的に証明した。(Transform. Groupsより出版予定)。 更に上述の結果を足掛かりに、A型正則スーパーW代数の表現論への応用を行った。とくに、上述のA型正則スーパーW代数の表現圏の振る舞いが良い場合のフュージョン環を決定(既約表現の分類・フュージョン則の決定)し、対応するA型副正則W代数のフュージョン環との間には風間・鈴木構成により誘導される格子・双対格子に付随する群環による双対性が現れることを発見した。さらに結果を強め、適切な全てのレベルでのこの二つ代数の適切な表現圏の圏同値及び、表現の間の絡作用素の間の同型を証明し、一般化された意味でのテンソル圏同値を示した。以上の結果を論文にまとめ、プレプリントとして提出した。(arXiv:2104.00942[math.RT]、Thomas Creutzig、元良直輝及び佐藤僚との共同研究)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究当初の目標であった、物理学者のGaiottoらにより発見されたスーパーW代数のアフィンコセット代数の間の双対性の一般の場合の証明はまだ達成されていないものの、本年度では、その特別な場合であるFeigin-Semikhatov予想を肯定的に解決したほか、一般の場合における証明への下準備もある程度得られた。その一方で、A型正則スーパーW代数とA型副正則W代数の間の代数としての双対性を超えて、表現圏の間の双対性を確立することができた。これは、今後の一般の場合のスーパーW代数の双対性の理解を深めるうえでの突破口となる結果であり、とくにほとんど未開拓であったスーパーW代数の表現論について初めてまとまった結果が得られた。このことはスーパーW代数の表現論を展開する上での糸口となりうるものである。以上の2点を総合的に判断すると、本研究は当初の結果以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一般のスーパーW代数の間の双対性の証明に取り組みたいと考えている。とくに、技術的に重要なスーパーアフィン頂点代数の自由場表示から系統だってスーパーW代数の自由場表示を得る方向で研究を進める。その過程で、この表示の古典極限における幾何学的対象や無限可積分系を考察する予定である。
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