2020 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical simulation of Cosmic-ray Acceleration on Superbubble
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20J10300
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 晴皇 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 超新星残骸 / 宇宙線加速 / 非熱的放射 / スーパーバブル |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河宇宙線は銀河系内の超新星残骸の衝撃波によって加速されていると思われてきたが、これまでの先行研究により、一つの超新星残骸における宇宙線加速では、元素ごとに異なるべき指数や最高エネルギーが説明できないなど、未だ未解決の問題点も多く残っている。 本研究では、そのような問題を解決するため、スーパーバブルと呼ばれる天体における宇宙線加速を理論シミュレーションすることで、現在観測されている銀河宇宙線の特徴を再現できるのか検証する。具体的には、一次元流体計算と非線形衝撃波加速計算を組み合わせた独自のコードを開発し、超新星における元素合成の情報を組み合わせることで、多様な元素分布を反映した環境の中で発生した超新星残骸の衝撃波による宇宙線加速を計算し、特に元素ごとの宇宙線スペクトルや最高エネルギーなどを比較することで、スーパーバブルが銀河宇宙線の起源天体になりうるかを検討する。 その計算において、複数回目の爆発において、爆発初期段階で衝撃波速度が高いにも関わらず、宇宙線加速ができない領域が存在することを新たに発見した。これは解析の結果、スーパーバブル内部の超新星残骸と星風の流体的な相互作用によって、高温高密度領域が形成され、衝撃波加速にとって非効率な環境となるためであることもわかった。また、超新星残骸内部の加速においては、高温低密度な環境のため、加速は可能であるが最高エネルギーが稼ぐことができなく、低エネルギーの宇宙線も加速されることが分かった。これらは単発の超新星爆発による加速では起こり得ない現象であり、これまで報告されたことのない新規性の高いものである。今後はこれらの結果を精査し、論文等で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
観測されてきた宇宙線の謎を解き明かすため、スーパーバブルにおける宇宙線加速の定量的評価を目指し、研究を行ってきた。スーパーバブルでは複数回の超新星爆発が起こるとされ、それらをシミュレーションするためには、特殊なシミュレーションコードが必要であり、本年度はそのコード開発に邁進してきた。これまでのスーパーバブルにおける先行研究で、複数回の爆発自体の流体シミュレーションはされてきたが、それらと宇宙線加速を組み合わせた事例はこれまで無く、新規性の高いコード開発が必要になってくる。そのため、コード開発がなかなか上手く進まず、当該年度中に期待通りの結果を得ることが叶わなかった。しかし、その開発途中であるが、本番に則したテスト計算において、星風と超新星残骸が衝突した高温高密度領域が出来上がり、衝撃波のマッハ数が下がり宇宙線加速が非効率になる領域と、広がった超新星残骸内の高温低密度領域による、低エネルギー宇宙線が生成される領域を発見したという結果を得ることができた(詳しくは研究実績概要を参照されたい)。これらの結果は、これまでの超新星残骸における宇宙線加速では見られなかった新しい結果であり、進展があったと考えることができる。そのため、本年度全体の研究状況においては、「やや遅れている」と自己評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は新規コード開発を完了させて、以下の計算に取り組む。 (i)テスト計算も兼ねて、多様な星周環境下の超新星残骸からの宇宙線加速を計算する。具体的には、超新星爆発を起こす親星の恒星進化を考慮した、各進化段階における星風が作る星周環境を用意し、その中で起こる超新星爆発による宇宙線加速とそれに伴う非熱的放射を計算する。 (ii)初期条件としての広がった超新星残骸の流体構造を流体シミュレーションし、その残骸のプラズマ密度や速度、重元素分布などを用いて、内側に再度超新星コアを置くことで、超新星残骸内での超新星爆発の流体計算を行う。 これらの計算結果を論文としてまとめ、国際査読誌に投稿する。
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