2020 Fiscal Year Annual Research Report
自閉スペクトラム症児の選択に基づく適応行動の支援プログラムの開発
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20J10353
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
馬場 千歳 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
適応行動を促進するための支援プログラムの開発に向けた準備を行った。 1. 自閉スペクトラム症児の自閉症重症度などの対象児の特性をふまえ、対象児の選択の特徴を分析した。選択後に提示される報酬量や報酬が提示されるまでの時間が異なる選択場面の選択、そして課題従事場面において報酬量や報酬の提示頻度が異なる選択場面の選択について分析した。分析の結果、生活年齢や知的能力などの対象児の特性によって選択の傾向が異なることが明らかとなった。 2. 支援プログラムの開発に向けた準備として、定型発達児を対象に学習場面における選択について検討した。報酬を好みの活動とし、好みの活動に従事できる回数や時間、計算プリントの進め方が書かれた2枚のカードを提示し、対象児に選択してもらった。カードに書かれた選択肢の内容(好みの活動に従事できる回数や時間)に着目していた対象児は、プリントを全て終了させてから長く遊ぶ選択肢を連続して選択する傾向が見られた。また好みの活動に従事できる時間が変化させた場合には、時間に着目し、長く遊ぶことができる選択肢を選択する傾向が見られた。 このことから選択場面において選択肢の内容を明示することは、選択に影響する要因であると考えられた。また対象児の中には、選択回数を重ねるにつれて、前半の選択の傾向と後半の選択の傾向に変化が見られた。選択の機会を設定し、繰り返し学習に取り組むことは、学習の進め方や取り組み方に変化を生じさせる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASD児の選択について分析した結果、対象児の生活年齢や知的能力などによって選択の傾向が異なることを明らかにした。また支援プログラムの開発に向けた準備として、定型発達児を対象に学習場面における選択について検討した。選択場面において選択肢の内容を明示することは、選択に影響する要因であることが示唆された。支援プログラムの開発に向け、研究を進めることができたことから、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果をもとに、具体的な支援プログラムの実施内容と手続きについて検討する。また検討した支援プログラムを対象児に適用し、支援プログラム効果について検討する。
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