2020 Fiscal Year Annual Research Report
C-P結合の切断を鍵とするキラルビスホスフィンの新奇合成法と不斉自己触媒反応
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20J10362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 隼斗 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | ホスフィン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は遷移金属触媒を利用した炭素-リン結合の切断を鍵とするキラルビスホスフィンの新奇合成法の開発に着手した。はじめに、助触媒である種々のキラルスルホン酸エステルおよびキラルN-ヘテロ環状カルベン誘導体を合成し、ライブラリを作成した。これらの助触媒を用いて反応条件(不斉源、温度、溶媒)を精査することでキラルビスホスフィンの合成を試みたが、eeの発現には至っていない。そこで、これまでと異なるアプローチで炭素-リン結合を切断する手法の開拓に着手した。その結果、フッ素化されたホスフィンに対して、ベンザインを作用させることで、炭素-リン結合の切断をともなってホスホール誘導体が合成可能であることを見出した。本反応では遷移金属触媒を用いない温和な条件で反応が進行するため、キラルホスフィンを合成する手法として利用できる可能性がある。また、炭素-リン結合切断が進行するための鍵中間体として五配位リン化学種であるフルオロホスホランを経由していることを単結晶X線構造解析によって明らかにした。フルオロホスホランの反応性に関する報告は限定されていたため、フルオロホスホランの反応性について調査することとした。その結果、フルオロホスホランを中間体とした触媒的なアルキンのカルボフルオロ化反応の開発に成功した。本反応では入手容易な酸フルオリドと電子不足アルキンから種々のモノフルオロアルケン誘導体が合成可能であった。フルオロホスホラン中間体の妥当性に関しては計算化学および種々の実験によりサポートした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画である炭素-リン切断反応に加えて、リンを用いるレドックス型の触媒開発という、当初想定していなかった新しい方向性を切り拓くことができた。以上のことから、本年度において期待以上の研究の進展があったと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
遷移金属触媒による炭素-リン切断反応と、リンを用いるレドックス型の触媒開発の二本柱で研究を進めていく。
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Research Products
(4 results)