2020 Fiscal Year Annual Research Report
特異・退化な重みをもつ放物型偏微分方程式の漸近挙動解析と定性的解析
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20J10379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立石 優二郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 放物型偏微分方程式 / 漸近挙動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では特異性あるいは退化性のある重み関数を係数にもつ放物型偏微分方程式に対して, 解の時刻無限大での漸近挙動解析を行う. また漸近挙動の研究に利用する解の正則性等の定性的解析及びHarnack不等式や熱核評価等の定量的な評価を導出することも研究の目的である. また重み付き熱方程式がポテンシャル項を持つ熱方程式の解に対するDoobのh変換によっても得られるという観点から, 重み付き熱方程式の結果の応用として, ポテンシャル項を持つ熱半群に対しても漸近挙動を考察することを目的としている. 本年度の研究実施計画は, 重み付き放物型方程式の非負値解に対するHarnack不等式など解の局所評価のサーベイと熱核評価の導出の検討であった. 特に双曲空間上の熱方程式に対する既存研究の結果を踏まえて, 重み関数が空間遠方で多項式冪で挙動する場合を第一に考察すると計画していた. 本年度の研究事績としては, 解の局所評価のサーベイを行い, 加えてその結果の応用として, 方程式の重み関数が多項式冪である場合に研究を行い, 熱方程式の場合と比較して, 時刻無限大での解の漸近形が重み関数の形状の影響によりGauss核の形状と異なることが分かった. 現在この結果を論文としてまとめている. また重み付き熱方程式の結果の応用として, 逆二乗冪ポテンシャル項を持つ熱半群に対してLorentz空間での定量的な導関数評価を行った. 低階及び高階導関数に対する減衰率評価をそれぞれ論文にまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.逆二乗冪ポテンシャル項を持つ熱方程式の導関数評価について Lorentz空間において解とその導関数の減衰評価を行い,方程式に付随する正値調和関数の挙動を利用して最適な減衰率を表現できると分かった.研究手法は球面調和関数を利用して方程式の解を級数展開し,球対称解の解析に帰着させることである.球対称解が満たす方程式は,時間微分項を外力と見做せば常微分方程式であるから,具体的な表示公式を導出でき,解の導関数評価が容易になると分かった.低階及び高階導関数の解析をそれぞれ論文にまとめて投稿し,学会講演を行なった. 2.重みつき熱方程式の解析について 熱核評価については,混合発展型方程式の正値解に対するHarnack不等式の先行研究があり,その結果を利用して研究を進めている.漸近挙動解析では,重み関数が多項式冪の場合に解析を行い,二乗可積分関数の空間において,時刻に対する解の漸近形と収束オーダーを求めた.手法は前方スケーリングと固有関数解析であり,方程式に対応する第一固有関数及び第一固有値が通常の熱方程式の場合と異なることから, 解の漸近形と収束オーダーが重み関数の形状を反映したものになり, 熱方程式の場合のGauss核とは異なることが分かった.現在は研究結果を論文にまとめている. 全体を通した課題としては,より一般の重み関数を対象とした高次漸近解析を目的に固有関数解析を行う際,方程式に対応した重み付きSobolev空間に対するコンパクト埋め込みが必要となり,その調査・研究が不足していることがある.
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Strategy for Future Research Activity |
重み付き放物型方程式の漸近挙動解析について, 昨年度は重み関数が多項式冪の場合に漸近形および収束オーダーを得られた. 本年度は重み関数の枠組みの拡張を検討する. 具体的には, 放物型方程式の解の漸近形の候補は対応する固有値問題の固有関数であるという事実から, その固有関数及び固有値の解析の裏付けに用いる重み付き版のコンパクトSobolev埋め込みについて, 研究の進展の現状を調査する. その結果に応じて重み関数のクラスをどの程度まで拡張できるか, そして拡張できない場合はその背景にある数理的現象によって特徴付けできるかを研究する.
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