2020 Fiscal Year Annual Research Report
複数の数値情報が係留効果と確率評価に与える影響の研究
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20J10404
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大貫 祐大郎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 意思決定 / 係留効果 / 確率評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究A: 本研究では, 報酬の与え方の違いによって, 貰えると期待する報酬量を変化させられるのかどうかを検討した. 実験の結果, 報酬 (チョコレート) を実験参加者の取り皿に最初から置いておくか否かの違いによって, 実験参加者が貰えると期待する報酬量を変化させられることが明らかになった. 本研究は, 2020年にFrontiers in Psychologyに掲載された. 研究B: 本研究では, 係留効果が発生するために必要な刺激の要素を検討した. 実験の結果, 係留効果の発生には「数字の提示」と「意味的な活性化」の2種類が必要であることが解明された. 申請者は本研究の成果を日本認知科学会第37回大会 (2020年度開催) で発表した. また, 本研究は2021年にFrontiers in Psychologyに掲載された. 研究C: 複数の数値を提示した場合に発生する係留効果を検討した研究Cは, Web実験と行動実験と並行させながらデータを集めている. これまで集めたデータの傾向を見ると, 仮説を支持する実験結果が期待できる. 申請者は, 本研究の成果を2021年の日本認知科学会第38回大会で発表することを計画している. 研究D: 複数の確率を提示した場合の確率評価を確認した研究に関しては, 全ての実験が終了した. 実験の結果, 複数の確率を提示した場合と一つの確率のみを提示した場合の確率評価が異なるという実験の仮説が支持される結果が得られた. 特に, 一つの確率のみを提示した場合よりも, 複数の確率を提示した場合の方が, 主観的な確率評価と客観的な確率評価が近づくことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究A: 報酬の与え方の違いによって, 貰えると期待する報酬量を変化させられるのかどうかを検討した研究は, 実験実施とデータ分析が終了したため, 論文を執筆し, 英文国際雑誌に投稿した. 研究内容は, 2020年にFrontiers in Psychologyに掲載された. 研究B: 係留効果が発生するために必要な刺激の要素を検討した研究は, 実験実施とデータ分析が終了したため, 論文を執筆し, 英文国際雑誌に投稿した. 研究内容は, 2020年度に開催された日本認知科学会第37回大会で発表し, 2021年にFrontiers in Psychologyに掲載された. 研究C: 複数の数値を提示した場合に発生する係留効果を検討した研究は, 新型コロナウイルスの蔓延による影響によって, 対面実験を実施することが困難となっている. そのため, 実験方法を対面実験からWeb実験に切り替えることで, 計画した研究を進めている. 上記の理由により, 実験刺激や実験手法を見直したことで, 実験実施のペースは計画当初よりもやや遅れている. 研究D: 複数の確率を提示した場合の確率評価を確認した研究に関しては, 全ての実験が終了しており, 現在は採取したデータを分析している. 現在までの進捗状況は、申請書の研究A, Bは計画通り論文としての掲載が決定し, 計画Dも計画通り実験データの採取が終了したが, 研究Cでは実験実施がやや遅れているため, 申請者は自身の研究を「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究A: 報酬の与え方の違いによって, 貰えると期待する報酬量を変化させられるのかどうかを検討した研究は, 論文として研究内容が雑誌に掲載されたため、研究を終了する。 研究B: 係留効果が発生するために必要な刺激の要素を検討した研究は, 論文として研究内容が雑誌に掲載されたため、研究を終了する。 研究C: 複数の数値を提示した場合に発生する係留効果を検討した研究は, 新型コロナウイルスの蔓延による影響によって対面実験を実施することが困難となっているが, 実験可能な範囲内で行動実験のデータも取りながら、Web実験のデータと合わせて研究を進めていく. 研究内容は, 認知科学会や行動経済学会で発表することを考えている. 研究D: 複数の確率を提示した場合の確率評価を確認した研究に関しては, 既に実施した実験のデータを分析していく. コンピューターシミュレーションによって実験結果の分析を進めていくが, シミュレーションの結果によっては新たな実験を実施することも考えている.
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