2021 Fiscal Year Annual Research Report
二次元IV族原子層の選択的元素置換による熱電変換用新ディラック材料の開発
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20J10412
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺田 吏 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 熱電変換 / エピタキシャル成長 / シリセン / シリサイド |
Outline of Annual Research Achievements |
IoTセンサ電源として環境調和型の高性能熱電薄膜の実現が求められている。本研究では、層状物質であるCaSi2に着目し、エピタキシャルCaSi2薄膜中にドーピングを施すことで、熱電出力因子の向上と熱伝導率の同時低減を達成することを目的とする。 まず、CaSi2へのSn元素置換を行い、CaSi2へのSnドーピングに世界で初めて成功したまた、Snの導入量を増加させるにつれ、Ca層間距離が大きくなっていることを解明した。しかし、このSnドープCaSi2はアイランド形状で成長し、目的の薄膜構造では形成できなかった。熱電応用に向けた薄膜化が今後の課題である。 そこで、元素導入ではなく、CaSi2相構造の変化で性能向上ができるのではないかと着想し、その研究に舵を切った。CaSi2では安定相と準安定相が存在し、それぞれでシリセンの構造が異なることが分かっているが、これに依存した熱電特性は明らかになっていない。そこでまず、共同研究により第一原理計算とボルツマン輸送方程式を用いて、準安定相の熱電性能を予測した結果、大幅な性能向上が期待できることが分かった。また、この相変化はバルクCaSi2においては、真空中で加熱することで生じることが分かっている。そこで、形成したエピタキシャルCaSi2薄膜を超高真空中でアニールすることで相変化を狙った。結果として、相変化はしなかったものの、なぜか熱電出力因子の向上を観測した。この結果は、結晶性向上では説明できるものではなく、相変化に匹敵するシリセン構造変調が起きている可能性を示唆している。 これらの結果から、SnドープCaSi2のアイラインド成長の観測とCaSi2相変化に着目した熱電特性向上の成果を得ることに成功した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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