2020 Fiscal Year Annual Research Report
日本のテレビドキュメンタリーは「占領期」に生まれた-番組フォーマットの歴史社会学
Project/Area Number |
20J10509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 章伸 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | メディア史研究 / 番組研究 / 占領期 / ラジオ / ドキュメンタリー / 民間情報教育局 / 放送 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本占領期に制作されていたラジオドキュメンタリー番組の表現形式の起源を1930年代から1940年代の米国のラジオ番組にたどり、その形成と変容の歴史を明らかにすることである。関連史資料の調査先となるのは、日本国内だけではなく、全米の大学図書館及び公文書館である。また、調査対象者も同様に国内外に点在している。新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、感染防止の観点から移動を伴う調査を控えなければならず、事前の研究計画書に通りに調査を行うことはできなかった。 しかしながら、特別研究員採用前から採用に至るの準備期間で築いたネットワークと学際的な研究者同士のつながりや、受け入れ教員の指導を受けながら、目の前の困難を出来うる限り乗り越え、調査に専念した。その際、上遠隔地の調査施設については、オンライン等で史資料調査を行い、調査協力者からは研究を遂行するために必要な一次史料の提供を受け、研究課題に取り組んだ。 具体的には、以下4つの項目について明らかにした。 (1)NHK放送博物館・国立国会図書館憲政資料室での一次資料調査、(2)(1)で集めた史資料の分析を通じたラジオ「番組フォーマット」の分析方法の確立、(3)米国の公的・個人所有資料の遠隔・オンライン調査と連合国軍最高司令官総司令部民間情報教育局の関係者及びその遺族への調査からドキュメンタリーの定義を確立、(4)米国のラジオ・テレビドキュメンタリーを視聴し、系譜と「番組フォーマット」の概念(1930年-1960年)を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を遂行するための事前調査において、資料収集場所や聞き取り調査対象者の多くが米国に点在しており、新型コロナウイルス感染症拡大による渡航制限で、現地での調査を実施することができないでいるからである。しかしながら、遠隔でのオンライン調査を模索するなど、一歩づつ調査を遂行するための術を探り、研究課題について明らかにするための努力は続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本本土の占領期と占領後のテレビドキュメンタリー黎明期までに制作されたドキュメンタリー番組に関連する一次史料を読み込み、再考する作業を積極的に取り組む。そうして得た知見を基にして、来年度は国内外の該当施設や調査対象者への調査を遂行することができるように、事前調査と準備を十分に行い、来年度に備えたい。特に米国では、米国内の資料館や大学図書館において一次資料の調査や、元連合国軍最高司令官総司令部民間情報教育局に所属していた文官およびその遺族への聞き取り調査を実施する予定である。
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