2020 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis and clinical application of linear ubiquitin chain assembly complex LUBAC in normal hematopoiesis and leukemia
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20J10521
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神保 光児 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 直鎖状ユビキチン鎖生成酵素 (LUBAC) / 造血器悪性腫瘍 / 急性骨髄性白血病 / 慢性骨髄性白血病急性転化 / 造血 / 造血幹細胞 / プログラム細胞死 / NF-κB経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は直鎖状ユビキチン鎖生成酵素 (LUBAC) が正常造血と骨髄性白血病に及ぼす影響を検討し、造血不全の病態解明やLUBACの骨髄性白血病における新規治療標的としての有効性と安全性を明らかにすることを目的としている。 正常造血における評価として、LUBAC構成要素がマウス骨髄細胞の造血幹細胞、骨髄系前駆細胞分画、成熟分化した骨髄球系・Tリンパ球系・Bリンパ球系分画に広範に発現していることを確認した。続いて機能解析のためLUBACの中心活性を有するHoipコンディショナルノックアウトマウスを構築し、造血細胞特異的な活性欠損がマウスの誕生を妨げること、成体となった後の欠損誘導により広範な分画で骨髄細胞の数が減少していることを明らかにした。またHoip欠損骨髄細胞はin vitroでのコロニー形成能低下、in vivoでの造血再構築能の低下を引き起こし、LUBACが正常造血に影響を及ぼしていることが明らかとなった。 また、LUBAC構成要素はヒト骨髄性白血病腫瘍細胞株や骨髄性白血病患者検体においても広範に発現していることを確認した。Hoipコンディショナルノックアウトマウスの骨髄細胞に腫瘍誘導遺伝子を導入したマウス骨髄性白血病細胞を構築し、LUBAC活性欠損がこれらの細胞でもin vitroでのコロニー形成能低下とin vivoへの移植により生存延長に寄与することを明らかにした。またshRNAによるHOIPのノックダウンはヒト骨髄性白血病細胞株と患者由来の骨髄性白血病細胞のin vitroでのコロニー形成を妨げることも明らかにした これらの結果から、LUBACが正常造血、骨髄性白血病いずれにおいても重要な役割を果たしていることが示唆され、今後はそのメカニズムの解析とLUBAC阻害の臨床応用の可能性を模索していくことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究遂行により、LUBAC活性欠損マウスモデルとLUBACの活性中心を有するHoipノックダウンベクターを構築、またその運用によりLUBAC活性の欠損・減弱が正常造血と骨髄性白血病に一定の影響を及ぼしていることを明らかにした。今後はそのメカニズムの検証とLUBAC阻害物質の臨床応用への可能性を行うことを計画しており、実行の準備もできていることから、当初の計画通りに研究が進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階までの研究によりLUBAC活性の欠損・減弱が正常造血と骨髄性白血病に及ぼす影響が明らかとなった。今後はその根底にあるメカニズムの検証とLUBAC阻害物質の臨床応用への可能性を模索することを予定している。 LUBACはプログラム細胞死の抑制、古典的NF-κB経路の亢進に重要な分子であることが知られており、造血細胞や骨髄性白血病細胞においてもこれらの経路が果たす役割をLUBAC活性欠損・減弱細胞を用いたフローサイトメトリー、免疫染色、ウエスタンブロットなどで検討する。また、既知のメカニズム以外に影響を及ぼしている経路を模索するため、正常造血細胞と骨髄性白血病細胞のLUBAC活性の有無によるRNAシーケンス解析を行い、遺伝子発現プロファイルの比較を行うことで、網羅的にLUBAC活性が及ぼす影響を評価し、その検証を蛋白質レベルにおいても行うことで未知の経路への影響も探っていく予定である。 臨床応用へ評価として、マウス骨髄性白血病モデルやヒト骨髄性白血病細胞のマウスへの異種移植モデルにおいて、これまで報告のあるLUBAC阻害物質を様々な量で投与、または既存の抗癌剤と併用することでその有効性と安全性を検討していくことを計画している。 これらの検討によりLUBACの未知なる作用を明らかにし、骨髄性白血病臨床現場の変化に寄与できればと考えている。
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Research Products
(3 results)