2021 Fiscal Year Annual Research Report
スピン・軌道相互作用により変調された半導体量子閉じ込め場中正孔のスピンテクスチャ
Project/Area Number |
20J11391
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
東条 樹 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 正孔 / スピン–軌道相互作用 / SiGe二元合金 / 二次元量子井戸 / Rashba効果 / Dresselhaus効果 / スピンテクスチャ / Berry位相 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では昨年度に引き続き、SiGe量子井戸におけるRashbaおよびDresselhausスピン-軌道相互作用(SOI)について検討し、これらが価電子帯上端近傍の三種正孔(HH、LH、SH)にもたらす変調効果について詳細に議論した。SiGe二元合金は閃亜鉛鉱構造をとるため、Si原子とGe原子の交互配置による反転中心の消失により、系にはDresselhaus-SOIが生じる。このSOIに起因する有効磁場により、スピンは面内方向に分極する。このスピンは<110>方向では等エネルギー面接線方向に配向するが、<100>方向では等エネルギー面法線方向に配向し、スピン-運動量ロッキングが破綻することが明らかとなった。また、擬縮退領域におけるスピン状態の不定性により、SHの<110>方向には擬縮退点を中心としたスピン渦構造が出現することを見出した。 続いて我々はSiGe量子井戸に対して面直方向に外部電場を印加し、Rashba-SOIとDresselhaus-SOIとの共存効果を議論した。Rashba-SOIはスピンを等エネルギー面接線方向に配向させ、スピン-運動量ロッキングを生じさせる。しかし、ここにDresselhaus-SOIが加わることで両SOIが競合し、スピン-運動量ロッキングが成立する領域と破綻する領域とが混在する。それにも関わらず、両SOIの対称性に起因する鏡映面により、<110>、<-110>方向においては厳密にスピン-運動量ロッキングが成立することが明らかとなった。また、両SOIの共存によりブリルアンゾーンには複数の擬縮退領域が出現する。これらの領域においては特異なスピン特性に加えて顕著なBerry位相が生じることを見出した。これらの成果は未だ研究例が少ない正孔スピンの特質を初めて明らかにしたものであり、今後のスピントロニクスの発展を支える礎となることが期待される。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)