2020 Fiscal Year Annual Research Report
2光子レーザ誘起蛍光法と粒子解析によるECRプラズマ源の電離機構の解明
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20J11456
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 裕介 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | イオンスラスタ / 間接電離 / 2光子吸収レーザ誘起蛍光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2光子吸収レーザ誘起蛍光法を用いて、通常作動状態におけるイオンエンジンにおいて、エンジン内部の基底中性粒子密度を世界初成功した。また、エンジン内部の励起自然発光も同時に、取得し、基底中性粒子密度と励起自然発光強度の相関から、励起過程を分析した。分析結果より、励起過程において、基底中性粒子からの直接励起だけでは説明できないことが示唆された。過去の電子温度計測、共鳴・準安定準位の中性粒子密度の結果から、励起過程には、準安定準位からの間接電離・励起が重要であることを突き止めた。更に、壁面損失・他の粒子との衝突による効果を考慮した準安定準位の粒子計算を実行することで、この準安定準位の粒子がECR加熱によって生成されるプラズマ領域から拡散していき、領域外での電離生成の主な原因となると明らかになった。最終的に、この領域外でのプラズマがマイクロ波の伝搬を阻害し、イオンエンジンの最大推力を律速すると明らかになった。この最大推力の律速原因の解明は、今後のイオンエンジンの更なる改良を行うための推進機設計の手がかりを与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、基底中性粒子密度の計測のみを計画していたが、励起自然発光強度を同時に計測できることを発見し、この同時計測が励起過程の新たな計測手法となったため。更に、その励起過程結果は、本推進機の推進性能を律速する原因となるECR加熱領域外の電離生成プロセスの解明に繋がったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、更にレーザ計測系を発展させ、電子密度、温度計測なども行い、本研究で明らかになったECR加熱領域外の電離生成で発生したプラズマのパラメータ同定を行う。
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Research Products
(11 results)