2020 Fiscal Year Annual Research Report
動的電子状態に基づく強誘電性金属錯体液晶の創製と分子デバイスへの応用
Project/Area Number |
20J11519
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
秋吉 亮平 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 混合原子価錯体 / 液晶特性 / 強誘電特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属錯体特有の動的電子状態に基づく強誘電体材料の開発を目指した。強誘電体に関する研究は、無機化合物を中心に古くから行われているが、近年では設計の自由度から有機化合物や金属錯体を用いた分子性強誘電体が注目を集める。しかし、従来までの分子性強誘電体の多くは、キラリティーや非対称構造を組み込むなど、高度な分子設計が必要不可欠であった。本研究では、分子内に酸化数が異なる金属イオンを複数有する混合原子価錯体に着目し、構造誘起ではなく電子移動に立脚した強誘電体材料の開発を行った。具体的には、種々の本数の長鎖アルキル基を付与した混合原子価ビフェロセニウム錯体を合成し、液晶特性および強誘電特性の評価を行った。示差走査熱量測定(DSC)ならびに温度可変粉末X線回折測定(VT-PXRD)から、2本の長鎖アルキル基を導入した錯体は液晶特性を示さないが、4本の長鎖アルキル基を導入した錯体は液晶特性を示すことが明らかになった。また、温度可変メスバウアー測定から錯体は昇温に伴って、電子移動速度が飛躍的に大きくなることがわかった。更に、錯体は中心対称性を持つ(空間群P-1)にも関わらず、強い第二次高調波発生(SHG)を示し、中心金属の電子移動が自発分極を誘起していると示唆される。また、強誘電テスター(P-E測定)を用いて、強誘電特性を評価したところ、液晶状態において分極ヒステリシスが観測され、錯体は強誘電特性を示すことが明らかになった。一連の研究成果は、新たな概念の分子性強誘電体の開発に向けて有用な知見を与える。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(10 results)