2020 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期のサステナビリティ教育の理論構築~エコロジーとデモクラシーの接点に着目して
Project/Area Number |
20J11691
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
光橋 翠 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 持続可能性のための教育 / 幼児教育 / 環境教育 / 自然体験学習 / 森のムッレ教室 / スウェーデン / エコソフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本とスウェーデンの保育実践を基盤として、持続可能な社会の担い手を育成する幼児教育(Early Childhood Education for Sustainability、以下ECEfS)の理論構築を行う。特に、循環型社会を築くために求められる生態学的な自然観の育成という「エコロジー」の観点と、子どもの主体的な参画と意思決定を重視する「デモクラシー」の観点を統合して、「子どものためのエコロジカル・デモクラシー」の理論構築を目指してきた。本研究は、文献調査、日本でのフィールド調査、スウェーデンでのフィールド調査の三つの研究から構成されている。本年度の実績は次の通りである。 文献調査では、幼児期のエコロジーの学習に関する研究として、スウェーデンで創案された幼児対象の野外教育手法である「森のムッレ教室」(以下、ムッレ教室)ついて研究した。その結果、まずムッレ教室の思想的背景には北欧に起源をもつエコソフィ思想があることが分かった。また、ムッレ教室の教育手法を分析することで、子どもを変革主体として捉える「子どものためのエコロジカル・デモクラシー」のモデルを検討した。これらの成果として二つの論文が採択された。日本でのフィールド調査については、保育園でのフィールド調査のデータに基づき、英語での論文執筆に着手した。また、新型コロナウイルス感染症のため令和3年度に延期したスウェーデンでのフィールド調査については、令和3年度も実施の見込みが立たないため文献調査及び現地文献の英訳に振り替えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に予定していたスウェーデンへの現地調査を新型コロナウイルス感染症の影響のために、令和3年度に文献調査に切り替えることにした。それに伴い現地調査の予算を文献調査及び現地文献の英訳にあてた。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響のために、結果的に文献調査と論文の執筆に集中して取り込むこととなった。その成果として3つの査読付き論文が掲載されるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、スウェーデンでのフィールド調査の代わりに行った文献調査について分析を進め、論文を執筆する予定である。
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Research Products
(3 results)