2021 Fiscal Year Annual Research Report
単層鉄セレン薄膜/基板界面で周期的に配列した鉄原子によるマヨラナ超格子の検出
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20J11699
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 友晃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 先端機能材料研究部, 博士研究員
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はSrTiO3(STO)基板上に作成した単層FeSeについて、角度分解光電子分光(ARPES)および電気伝導測定を行い、バンド構造・超伝導ギャップおよび超伝導転移温度を調べた。その詳細について以下に記す。 ARPES測定では、先行研究同様に電子ポケットがM点で観察された。対称化EDCから超伝導ギャップが見られ、そのギャップサイズは~15 meVだった。このEDCについて温度依存性を測定した所、温度上昇に伴いピーク強度が減少し、ピーク位置が高束縛エネルギー側へシフトした。前者は超伝導に特徴的な振る舞いであり、後者はサンプルの一部が常伝導化しており、常伝導由来のFermi-Dirac関数の温度変化により生じていると推察される。また、準粒子ピーク強度の変化より転移温度が60~70 Kであると見積もられた。 電気伝導測定から、超伝導に特有の抵抗率の減少が40K以下で観察されたが、10K以下では半導体に典型的な特徴である抵抗率の上昇が見られた。 ARPESの温度依存性測定の結果から、このサンプルでは常伝導と超伝導が混在していることが示唆される。電気伝導測定では超伝導・半導体的な特徴が観察されたが、後者の特徴についてはARPES測定で見られた常伝導成分が10K以下で半導体的な性質を示したと考えられる。このことから、サンプルの一部が半導体的になっているものの、それ以外の部分は超伝導であることが分かる。この超伝導転移について擬ギャップの有無の議論を行う。ARPESによって得られた超伝導転移温度は60~70Kであり、伝導測定では~40Kである。この測定手法によるTcのずれは先行研究での報告と一致しており、超伝導転移温度より高温で擬ギャップが発達していることを示している。この結果は単層FeSeの超伝導発現メカニズムにおいて擬ギャップが重要な役割を果たすことを示唆している。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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