2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the role and differentiation process of intra-embryonic amniogenic somatopleure cells
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20J11793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽田 優花 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 原羊膜 / 心血管発生 / 甲状腺 / ウズラ-ニワトリキメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物のうち爬虫類、鳥類および哺乳類は、発生過程で羊膜のような明瞭な胚外組織も形成する。一般的に胚外組織は胚体への寄与はないと考えられているが、我々は鳥類胚において羊膜予定領域壁側葉(原羊膜)が羊膜だけでなく胚内にも移行し、心臓流出路付近の心筋や血管内皮細胞に分化することを発見した(Asai et al., 2017)。しかし、胚外から胚内に移行する一群の原羊膜細胞(胚内原羊膜細胞)の分化過程の詳細や胚発生における役割は未だ明らかでない。そこで本研究では、単一細胞トランスクリプトーム解析、ウズラ-ニワトリキメラを用いた細胞追跡、in vitro培養系またはニワトリ卵殻内培養実験(CAM移植実験)などを通して胚内原羊膜細胞の分化に関わるメカニズムを分子・形態的に理解することを目的とした。 これまでに、単一細胞トランスクリプトーム解析の結果から胚内移行前後の原羊膜細胞の一部にヘマンジオブラストに似た性質を持つ細胞があることを発見した。また、ウズラ-ニワトリキメラの解析により、甲状腺に寄与し血管内皮細胞に分化する胚内原羊膜細胞の存在を新たに発見した。 本年度は、原羊膜細胞の初代培養を条件培地にて行い、内皮マーカー遺伝子の免疫染色による観察やリアルタイムPCRによる遺伝子発現量変化の定量を行なった。これまでの結果から、FGF2とVEGFの相互作用が原羊膜細胞の血管内皮分化に重要であることが示唆された。FGF2とVEGFによる血管形成は卵黄嚢や体節由来の細胞では報告されているが、壁側葉由来の胚内原羊膜細胞が同様の機構によって臓器血管新生に寄与することはこれまでに報告がない。 さらに現在、胚内原羊膜細胞と同じく甲状腺に寄与する心臓神経提細胞との相互作用に着目した解析や、胚内原羊膜細胞が甲状腺特異的に寄与するメカニズムを明らかにするための解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一細胞トランスクリプトーム解析から得られた結果をin vitroやin vivo、さらにin ovo (卵殻内)での実験で証明するための系を立ち上げただけでなく、FGF2とVEGFという具体的なシグナル分子が原羊膜細胞の分化過程でどの様に関与するかを明らかにしつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は原羊膜細胞の造血リネージへの関与や他系譜細胞との相互作用について検討する。 また、シグナル阻害実験などによりさらなる分子メカニズムの解明を行う。 得られた結果を取りまとめ、論文として報告する。
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