2020 Fiscal Year Annual Research Report
シュレディンガー型方程式の解の各点収束性とフラクタル幾何
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20J11851
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
白木 尚武 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 各点収束問題 / Schrodinger方程式 / フラクタル次元 / Klein--Gordon方程式 / Strichartz評価 / 最良定数 / 零形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は分数階Schrodinger方程式の解に対する各点収束問題の一般化に対する結果を得た.具体的には一次元空間において曲線に沿った極限の経路を考えその曲率が解の各点収束に与える影響を調べた.別のセッティングに対して研究代表者が確立された手法を非自明に応用し,初期値の滑らかさの対する臨界点を除き各点収束の条件を明らかにした.期待に反し分数階Schrodingerの指数が初期値の条件に影響を与えることを見出し結果的に先行研究の誤りを修正した.またこの証明をもう一段階昇華させ,幾何測度論を応用し発散集合のフラクタル次元に対して上からの評価を与えた.この研究はSeoul National UniversityのChu-Hee Cho氏との共同で行われ論文にまとめた. Schrodinger方程式と波動方程式のハイブリッドとして知られるKlein--Gordon方程式の解に対するStrichartz評価に付随する最良定数を,ある特別な場合について求めた.波動方程式の文脈に対して,Foschiにより確立された精密な計算法とBez--Jeavons--Ozawaによる零形式の文脈におけるその拡張を一般化し,Klelin--Gordon方程式に対して同様の結果を得た.次元を問わず球対称解に対する一般の場合と定数次元に対する特殊な場合について具体的に最良定数を求めることに成功した.この時波動の場合には現れなかった波動,非波動の二種類の形を扱い,特に非波動の場合においてこれまで知られていなかった最良不等式を示した.この研究は埼玉大学のJayson Cunanan氏との共同研究に基づき論文にまとめられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行結果を上手く応用することで各点収束問題の一つの一般化に対して解析を行い興味深い結果を得た.その過程で証明法を洗練させ手法の堅さと汎用性を示した.また,かねてより目標としていた必要性に対しても一部大きな進展をした.Klein--Gordon方程式に対する最良定数付きStrichartz不等式の研究をまとめ上げたことも大きい. 同じく量子力学上の重要な裁量定数付き不等式の一つ超縮小性不等式(hypercontractivity inequality)に対して,拡散流法とある種の閉性を用いた非常に抽象度の高い一般化と驚くほどシンプルな証明の構成が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
曲線経路に沿った各点収束問題において十分条件の解析が難しく,必要条件の解析は比較的簡単と言えた.実際本年度で研究をひと段落することができた.一方で先行研究として行った線群経路に沿った各点収束問題においては,必要条件の解析は非常に難しくこれまで全く結果が与えられていない. これはかねてより目標としていた問題で,最近一部大きな進展があったため,この結果を研鑽し既存の結果と合致する有益な情報を引き出す.また一次元だけでなくより難易度の高い高次元の状況にこの観点を応用し,既に与えられている十分条件に意味づけを行う. 若手研究者海外挑戦プログラムにてバーミンガム大学でJonathan Bennett教授との共同研究を予定している.この一環として各点収束問題に幾何解析的手法を応用し新たな幾何情報やより精密な解析を行う.
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