2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of everything searched by weak gravity conjecture and experiments and observations
Project/Area Number |
20J11901
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 慶彦 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Keywords | 弱い重力予想 / 大域的対称性とゲージ対称性 / 標準模型を超える物理 / アクシオン / スカラーセクター / 暗黒物質 / インフレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、カイラルな複数のU(1)ゲージ対称性を持つような系に対する弱い重力予想と、標準模型を超える物理、特にスカラーセクターの拡張に対する研究を行った。 一般に低エネルギーでアノマリーフリーに残るU(1)ゲージ対称性は複数のU(1)の線形結合で与えられるが、弱い重力予想をこのような系に適応すると、U(1)ゲージ群の数に対するある種の"species bound"と解釈できることを議論した。 標準模型を超える物理として、特にスカラーセクターの拡張とそのスカラー場が暗黒物質として振る舞うような模型について研究を行った。特に、この拡張セクターのエネルギースケールが非常に高くなるような場合について、暗黒物質の候補がどのように生成されるかについて議論した。右手型ニュートリノと暗黒物質が結合する際には、宇宙線観測からその結合に強い制限が課されるが、そのような場合における暗黒物質の生成機構について提案を行った。また、ミニマルな模型拡張を考えた際に、暗黒物質の具体的な生成機構とミニマルなインフレーションのシナリオが整合的であるかについて調べた。 DFSZアクシオン模型において、対称性の破れによって生成されるストリングについて解析を行い、中心に細いアクシオンストリングが存在し、それを取り囲むように電弱ゲージ場のフラックスをまとうストリングが生成されることを議論した。また、あるパラメータ領域においては、このストリングが超伝導性を示すことを指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
弱い重力予想について、具体的な模型を通した解析によって、その性質が理解されてきている。次年度はさらにこの解析を通して、特にスカラーセクターに対する制限や条件の定式化を行いたい。 また、標準模型を超えた物理の模型においても、スカラーセクターの拡張による物理とその観測からの制限などについて理解が進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度と同様に、具体的な模型の構築や系のダイナミクスの解析を通して、弱い重力予想やその他の沼地予想の理解を進めていく。特にスカラーセクターに対する制限や条件の定式化を行いたい。 また、現象論的な模型の解析においても、これまでの研究で発見したストリングや暗黒物質のダイナミクスを通して、模型が描く物理の全貌を解き明かし、今後の実験や観測でそれらがどのように調べられるかを議論したい。
|