2020 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative study between Japan and China on the description requirements of patent law
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20J11953
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
劉 一帆 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 特許法 / 記載要件 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の研究は、記載要件について抽象的な一般論を語るのみであり、現実に問題となっている具体的な課題を意識していないか、その解決策を提示し得ていないものが多い。本年度の研究目的、研究課題は以下のようになる。 1年目の前半では、関連文献だけでなく、日本において、化学、バイオテクノロジー、ソフトウェア関連発明の記載要件に関する審査基準や裁判例に対して、何らかのリアクションがないかを調査研究する。できれば自分で整理できていない論点について、それらの技術分野の特許実務で活躍されている弁護士・弁理士との意見交換を行う。とりわけバイオテクノロジー関連発明は、物の構造や特性に基づく効果の予測が困難な技術分野の発明であり、記載要件の認定が微妙になる場合が多い。そのため、バイオ発明の保護に関しては、技術開発や明細書の記載がどこまで具体化すれば記載要件を充足し、特許を取得しうるのかという問題を、近年注目を集めている抗体発明に関する判決を素材として研究する。こういった研究で得られた成果を一つの論文にまとめ、大学紀要等に「研究ノート」として公表する。 続いて1年目の後半で、特に予測可能性の低い技術分野において、従前の技術水準に対する貢献が具体例型に止まるのに、技術的意味型のふりをする特許(偽技術的意味型) に対して、どのような処理の仕方がとられるのかについて研究する。こういった研究で得られた成果を一つの論文にまとめ、大学紀要等に「研究ノート」として公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、知的財産法政策学研究に2本、ジュリストに2本、判例評釈を掲載した。いずれも、特許の記載要件に関するもので、サポート要件に関して明細書に記載されている課題を公知技術に鑑みて狭く読替えることにより、クレイムが広汎になりすぎることを防ぐことができるのかなど、これまで十分に論じられていなかった論点について裁判例や文献を渉猟するものであるといえる。それに伴い、記載要件をテーマとする博士論文の執筆も着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目では、日本法で提起された新たな提言が示す実施可能要件とサポート要件を合わせた記載要件の運用の仕方が、とりわけ近時、最も記載要件が問題となっているバイオテクノロジーに関して望ましい解決策の方向性を示しているものであることを検証するために、米国法の開示要件に関する裁判例と学説の展開を比較法の対象として取り上げ、その成果をふまえて、日本法における問題処理のあり方につき検討を行って方策を提言することとする。
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Research Products
(6 results)