2020 Fiscal Year Annual Research Report
alcove walkおよび量子LSパスを用いたSchubert計算の研究
Project/Area Number |
20J12058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 隆史 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 量子K理論 / 量子Yang-Baxter move / 量子alcoveモデル / Chevalley公式 / Demazure加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,トーラスの指標と,アフィン量子群のレベル・ゼロDemazure加群の次数付き指標(次数付きDemazure指標と呼ぶ)との積を,次数付きDemazure指標たちの一次結合として展開する等式(逆Chevalley型指標公式と呼ぶ)の記述を進めた.当初の研究計画ではkey多項式を扱う予定であったが,key多項式の代わりに次数付きDemazure指標を扱うことで,通常のK理論だけでなく,2021年度の研究として予定している量子K理論の議論も同時に行えるため,本研究では次数付きDemazure指標に着目した.その結果,ルート系がA型で,トーラスの指標が第一基本ウェイトに関連する特別な形の場合に,明示的な逆Chevalley型指標公式を得た.またその応用として,A型の旗多様体の同変量子K群において,Schubert類に,第一基本ウェイトの有限Weyl群による軌道に属するウェイトに対応するトーラスの指標を作用させて得られるクラスを,直線束のクラスとSchubert類のテンソル積をとって得られるクラスたちの一次結合として展開する等式を得た.この展開式は,同変量子K群をトーラスの表現環上の加群と考えたときの構造を表す. また,2020年度の研究では,量子K理論において重要な組合せ論的対象である,量子alcoveモデルを取り扱った.優整ウェイトに対応する量子alcoveモデルには,量子Yang-Baxter moveと呼ばれる性質のよい写像が存在する.本研究では,Lenart氏,内藤氏との共同研究により,量子Yang-Baxter moveを優整ウェイトとは限らない一般のウェイトに対応する量子alcoveモデルに拡張した.この写像を応用することで,Lenart氏,内藤氏,佐垣氏によって最近証明された一般のウェイトに対するChevalley公式に,新しい証明を与えることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は,当初2021年度に実施予定であった量子K理論におけるChevalley公式について,一定の成果を上げることができた.一方,逆Chevalley型指標公式については現在も進行中であるが,基本的な場合である,ルート系がA型でトーラスの指標が第一基本ウェイトに関連する場合について,期待する解答を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,進行中である逆Chevalley型指標公式の記述を進める.当面の間は,トーラスの指標は第一基本ウェイトに関連するものを考える. まずは,A型と構造が近いルート系であるC型の場合に,逆Chevalley型指標公式の記述を行う.C型の記述が完了次第,他のルート系も取り扱う. また,逆Chevalley型指標公式を応用し,旗多様体の同変量子K群をトーラスの表現環上の加群と考えたときの構造を明らかにすることを目指す.
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Research Products
(3 results)