2021 Fiscal Year Annual Research Report
性的虐待被害者にとって生とは何か――当事者研究の角度から
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20J12138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 瞳 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 性暴力 / トラウマ / PTSD / 現象学 / 医療人類学 / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度~2022年度(新型コロナウイルス感染症のため2022年9月まで調査期間を延長)は、女性運動と精神医療の展開に着目しながら、性暴力被害の問題を医療社会学、医療人類学、ジェンダー研究の文脈に位置付ける試みを行ってきた。 (1)については研究報告の後、国内の女性学を専門とする学術誌にレビュー論文を投稿し、掲載に至った。国内の性暴力被害者支援をめぐる研究は、精神医学・心理学領域の臨床家を中心に治療やケアの技法が主題化される傾向があった。これに対して、日本ではほとんど受容されてこなかったアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドをはじめとする英語圏の社会学、社会心理学、フェミニスト心理学など各領域のフェミニスト研究者らの議論をレビュー形式で紹介し、国内の性暴力被害者支援研究の文脈に位置付けることができた。 (2)ついては、性暴力、被害、病いをテーマに研究報告および論文投稿を行い、スティグマとその引き受けについて検討した。これにより、「性暴力被害者になること」をめぐる被害者/支援者関係の分析や、「病者になること」を主題とする文学作品の現象学的分析、さらには性暴力の議論の哲学・倫理学的考察など、学際的な形で研究を進めることができた。 (3)については、性暴力被害当事者を対象としたグループインタビューを実施することができた。また、性暴力被害者と支援者の関係性をテーマに、支援の専門家が集まる学会において公募シンポジウムを開催し研究報告を行うことができた。これにより、日本において人文社会科学の視点から性暴力被害支援を照らし出す新たな研究可能性を検討することができた。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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