2021 Fiscal Year Annual Research Report
ブラディリゾビウム細菌の陸域生態系における生存戦略:タンパク質分泌系の役割の解明
Project/Area Number |
20J12228
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
原 沙和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 根粒菌 / 温室効果ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
Bradyrhizobium属細菌はマメ科植物の根粒に共生し宿主植物の生育促進を行う「根粒菌」として古くから認識されてきた。しかしながら近年のオミックス解析により、マメ科植物根だけでなく陸域環境に広く分布することが明らかになってきた。特に当属細菌は窒素固定能・脱窒能を持つため、地球規模の物質循環に寄与すると期待される。本年度は、昨年度にイネ科植物ソルガムから分離培養し、根粒形成能および土壌での分布を確かめたB. ottawaense株を対象に、脱窒の一部であるN2O還元活性を詳細に調べた。N2Oは温室効果ガスであり農業活動により発生するため、農地からの発生量の削減が重要である。 本研究で分離したB. ottawaense(11株)および基準株OO99TのN2O還元能を調べたところ、ほとんど全て株でこれまで報告されていたB. diazoefficiensの約5倍高い活性を示した。さらにN2O還元を触媒する酵素遺伝子nosZの発現量を調べたところ、B. diazoefficiensの約130倍高かった。したがってnosZを高く発現することが高いN2O還元活性の主な原因である可能性が考えられた。次にこれまで報告されているnosZ発現制御遺伝子について、B. ottawaenseとB. diazoefficiensで塩基配列比較を行った。その結果、いずれの遺伝子も83%〜97%と高く保存されていた。したがってB. ottawaenseのnosZはこれまで知られていない新規の因子によって高発現化していることが示唆された。 以上より本年度は陸域生態系(特に農地)に分布するB. ottawaenseが高いN2O還元活性を示すことを明らかにし、そのメカニズムに迫った。地球温暖化の解決が急務である現代社会において、N2Oを削減する菌株の発見は重要であり、今後の応用研究が期待される
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)