2020 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性金属/半導体ハイブリッド量子スピントロニクスデバイス
Project/Area Number |
20J12256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 亮太 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 磁気トンネル接合 / トンネル磁気抵抗効果 / 分子線エピタキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
Feとの格子整合性が良い酸化物半導体SrTiO3を用いて、Fe/MgO/Fe/γ-Al2O3/Nb:SrTiO3からなる、フルエピタキシャル二重障壁磁気トンネル接合素子を、分子線エピタキシー法により作製した。反射高速電子回折像および透過電子顕微鏡像により、すべての層がエピタキシャル成長していることを確認した。電気伝導測定を行ったところ、300 Kで219%もの大きなトンネル磁気抵抗比を観測した。これは典型的なFe/MgO/Feのものよりも大きく、Nb:SrTiO3電極の面内フェルミ波数が小さいことに起因したk-space filteringによってトンネル磁気抵抗効果が増大した可能性がある。バンド計算を行ってみたところ、実際にNb:SrTiO3の面内フェルミ波数はトンネル磁気抵抗効果の増大が見込めるほど小さいことが分かった。本研究の結果は、FeやFeをベースとした磁気トンネル接合素子と、酸化物半導体であるSrTiO3との良い整合性を示す結果であると考えられる。また、同様の素子構造において、バイアス電圧を上昇させると、トンネル磁気抵抗比が上昇するという特異な現象を観測した。この原因を探るため、電気伝導測定を行ったところ、ゼロバイアス近傍では、クーロンブロッケード効果に起因して、γ-Al2O3層の抵抗値が支配的であることがわかった。これにより、低バイアス電圧領域ではFe/MgO/Fe層の電圧降下がほとんど起こらず、その結果、非常に高いバイアス電圧領域においても、大きなトンネル磁気抵抗効果が観測されることがわかった。実験的には、3.5 Kで、バイアス電圧-4 Vにおいても、23%のトンネル磁気抵抗比が得られた。この結果により、磁気トンネル接合素子にFe/γ-Al2O3/Nb:SrTiO3層を接続することで、高バイアス領域においても、高いトンネル磁気抵抗比が得られる手法を確立した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)