2021 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系における非平衡現象に対する新規数値計算手法の提案及び微視的機構の解明
Project/Area Number |
20J12265
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
道下 佳寛 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Keywords | 非線形応答 / トポロジカル物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究(散逸・繰り込みの非線形応答に及ぼす影響の解析)に引き続き、散逸の効果を特に幾何学的な立場から解析した。 まずGreen関数を用いた表式から出発し、実周波数積分を複素平面上の経路積分に置き換える事で、フェルミ分布関数由来の松原振動数の極からの寄与と、バンド固有値由来のグリーン関数の極からの寄与に分ける事が出来る。既存の研究で得られていた結果は、グリーン関数の極からの寄与について散逸がゼロの極限を取ったものと一致する。 散逸が無視できない場合に、線形の場合は松原からの寄与が大きく残るが、一方で(2次の)非線形応答においては他の項に比べて非常に小さくなることが分かった。2次の非線形応答においては空間反転対称性が必要であり、その情報は、バンドの幾何学的な項にエンコードされているが、松原振動数の極からの寄与は、この情報がほとんど見えないためにほとんど寄与しない。 つまり非線形応答においてはグリーン関数の極からの寄与のみ着目すれば、散逸の効果を取り込めている事になる。この時、散逸を表す自己エネルギーの虚部により、(準粒子の寿命を反映して)バンド固有値は複素数となり、フェルミ分布関数に複素数が代入される。結果フェルミ分布関数の虚部が生まれ、そこから新たな幾何学的な寄与として、Christoffel symbol termとgeneralized Berry curvature termが生まれる事が分かった。我々はこれらの項をdissipation-induced geometric term(散逸により新たに誘起される幾何学項)と名付けた。前者は非線形Drude項の他バンド補正を与え、後者は非相反応答の根源となる。 またWeylHamiltonianにおいて非線形応答の特異な化学ポテンシャル依存性を発見した。これは実験におけるワイル点及びそのタイプの同定に非常に役立つと思われる。
|
Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|