2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Semantics and Pragmatics in Causative Alternations
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20J12446
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 宏太郎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 自他交替 / レキシコン / 世界知識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日英語の自他交替及びこれに関連する現象を研究対象とした。自他交替とは、1つの動詞が自動詞でも他動詞でも用いられる場合を指す(例 Hanako broke the window. / The window broke. 花子が窓を割った。/ 窓が割れた。)。まず、英語の移動動詞(例 run, roll)について、これらの動詞が表す様態の複雑さの観点から、他動詞としても用いられるものと自動詞としてしか用いられないものとが適切に区別されることを指摘した。また、主語と目的語との間に部分全体関係が見られる場合(例 「太郎が恐る恐る目を開けた」の「太郎」と「目」の関係)、そのような他動詞文は受身文にすると不自然になる(例 *?目が太郎によって恐る恐る開けられた。)ことを指摘し、特に日本語の-(r)as接辞を持つ動詞(例「切らす」「蒸らす」)はそのような関係を導入すると主張した。次に、動詞が表す「状態変化」について、その状態変化を被るモノがどんな機能を果たし、その状態変化によってその機能が果たせなくなるか否かという観点で分析を行なったところ、日本語の自他交替に関わる動詞の中でも-e接辞によって他動詞形態から自動詞形態が派生されているような動詞(例 切る kir-u > 切れる kir-e-ru)は、モノの機能が果たせなくなる状態変化を表す場合に自動詞文が自然で、そうでない場合に自動詞文は不自然であることがわかった(例 *ケーキが切れた。vs. ロープが切れた。前者は切った行為者を明示していない可能構文としては自然。)。最後に、日英語の他動詞文の主語について、因果関係を表現する際に、どの程度細かさ(粒度)で述べるのが適切かという観点を導入し、単に無生物を主語にしにくい日本語としやすい英語という分類を超えた、より一般的な説明を可能にした。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(7 results)