2020 Fiscal Year Annual Research Report
重力の非リーマン幾何学性の探求と宇宙観測による検証
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20J12585
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
嶋田 圭吾 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 重力理論 / 一般相対性理論 / リーマン幾何学 / 計量アフィン幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力を時空の幾何学として捉える現代物理の描像はアインシュタインによって提案された一般相対性理論が発端である。この一般相対性理論は宇宙の様々な現象を正確に予測及び予言をし、重力理論として確固なる立場を得てきた。しかしこの一般相対性理論を基とする宇宙の標準模型では説明できない現象が近年観測されている。最たる例が宇宙の最初期に起こった加速膨張であるインフレーション機構や現在の宇宙に満ちている謎のダークエネルギーなどである。これらは一般相対性理論に基づく標準宇宙論では説明できないため、重力理論の拡張を示唆している。そこで、重力の時空の幾何学的性質に立ち戻り、一般相対性理論が用いるリーマン幾何学の理論的妥当性を再調査し、今後発展していく宇宙観測により精査するのが、本研究の非リーマン幾何学性の探求である。
本研究ではまず非リーマン幾何学重力理論における宇宙論的摂動論を精査した。従来の研究ではリーマン幾何学と類似しているような系においてのみで摂動論を展開できたが、本研究により広いクラスの非リーマン幾何学重力理論において、摂動論を適用することができ、かつ観測との比較が容易になった。一方、多くの非リーマン幾何学重力理論は拘束系の場の理論になり、非拘束系との比較が必要である。今後の解析を優位に進めるため、拘束系の重力理論の代表格Mimetic Gravityにおいての理論の拡張を行い、物理定数を大域的自由度に昇格することにより、プランク定数の微調整問題に新たな知見を導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍における出張の制限により、他大・特に海外との共同研究者と連携がとりにくく、また国内/国際研究会の参加も乏しいため、進捗がやや遅れている。今後、国内外の出張制限が緩和され次第、より他大・海外との研究者及び研究機関と連携できるよう準備を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得た知見に基づき、より応用への挑戦に試みる。 まず非リーマン幾何学重力理論における宇宙論的摂動論の確立により、この手法を広い範囲の理論に適用し、観測との整合性を確かめる予定である。またリーマン幾何学の場合と比較し、現在および今後の宇宙観測を通し、宇宙の幾何学をより詳細に制限する。 一方、非リーマン幾何学重力理論の理論的側面もより精査する。拘束系の場の理論としての特性に注目し、理論クラスの特定や表面項の導出を行う予定である。またリーマン幾何学と非リーマン幾何学の場合においての不安定性を運動方程式の微分の階数により、クラス分けも行う予定である。
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