2020 Fiscal Year Annual Research Report
縫合重合を基盤とした配列制御による新規π共役周期共重合体の合成
Project/Area Number |
20J12804
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 翔 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | ケイ素架橋型π共役高分子 / 縫合重合 / ロジウム触媒 / π共役周期共重合高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる2つのモノマーを共にポリマー鎖に組み込むことによって得られる共重合ポリマーはその構造に由来する特有の物性を示すことが知られている。しかしながら、周期共重合ポリマーの合成例は少なく、モノマー配列および利用できるモノマーには制限がある。一方、申請者はこれまでの研究において、末端アルキンと内部アルキンをエチレン鎖で繋いだ化合物をモノマーとして用い、縫い合わせながら重合させることで新規架橋型π共役ポリマーの合成に成功した。このような背景のもと今回、申請者はモノマーの架橋部位をエチレン鎖から脱着可能なケイ素に変え、新規ケイ素架橋型π共役高分子を合成後、ケイ素を取り除くことで新規π共役周期共重合ポリマーの合成に取り組んだ。申請時点から当該年度まで、末端アルキンと内部アルキンをケイ素で繋いだ化合物をモノマーとして用いた縫合重合の条件を検討したところ、効率的に縫い合わせながら重合できることを見出し、非常に高分子量のポリマーを得ることに成功した。また、本重合は、電子供与基であるアルキル基から電子求引基のアミド基まで様々な置換基をもつモノマーが利用応可能であり、さらに、アルキン部位を伸長させたトリインおよびテトラインモノマーの縫合重合にも成功した。本重合を用いて得られたケイ素架橋型π共役高分子に脱シリル化剤を反応させたところ、高い効率で脱シリル化が進行し、周期π共役共重合ポリマーの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の課題であった新規ケイ素架橋型π共役高分子およびπ共役周期共重合高分子の合成手法の確立に成功したので、概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、本研究で得られたポリマーの物性、特に導電性について明らかにしていくことで、より高い性能を有するポリマーの設計・合成に取り組む。また、本重合で用いるモノマーは単純なモノアセチレンモノマーより重合活性が高いことがわかっており、この活性発現のメカニズムについての研究を行う予定である。例えば、内部アルキンを様々な配向基に変換したモノマーを合成し、その重合活性評価を行うことで、モノマー構造と重合活性についての相関を明らかにする。また、本重合反応をジエンモノマーに適応させることで、新規架橋型ポリオレフィンの合成を目指す。
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