2020 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解能の地上・衛星同時観測で解き明かす脈動オーロラの階層的周期構造の起源
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20J12913
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
川村 勇貴 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 脈動オーロラ / Pulsating aurora |
Outline of Annual Research Achievements |
脈動オーロラ(Pulsating Aurora: PsA)は、数秒から数十秒の変化(主脈動)の上に秒以下の細かい変動(内部変調)が重畳した階層的周期構造を有するディフーズオーロラの一種である。本研究では、複数地点に設置された高速光学観測機器を用いて、PsA の階層的周期構造の制御機構について議論する。本研究においては、上述の 4 地点において同時に活発な PsA が観測された 2018 年 3 月 15 日 00:30 -01:30 UT のイベントを解析に用いた。周波数解析の結果、主脈動の大部分は 4-8 秒であり、内部変調の周波数は 3 Hz に集中していた。また、全体の 43% が内部変調を有しており、その割合は高緯度側ほど低くなる傾向にあることも分かった。上記の結果を踏まえて、PsA の階層的周期構造の制御機構を議論するために、PsA 電子の磁気圏-電離圏間の移動時間を考慮に入れた上での PsA の時間変化の再現を行った。再現結果から、PsA 電子のエネルギーの多様性に起因する移動時間の分散が内部変調の速い変化を潰していることが示された。 上述の結果から、PsA の階層的周期構造は磁気圏でのコーラス波動の強度変調を直接反映したものではなく、PsA 電子の磁気圏-電離圏間の移動時間の分散が加わって形成されていることが明らかとなった。この移動時間の分散は、PsA 電子のエネルギーに依存しており、仮にエネルギーの高い電子のみが PsA に寄与している場合には、分散の効果は小さくなり、内部変調が明確になることが予想される。このように、PsA 電子のエネルギーの多様性が、階層的周期構造を形成する上で、重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらに、この結果は内部変調の明確さが PsA 電子のエネルギーの指標として有用であることを示している。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)