2020 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン性置換基導入による高周期元素低配位化学種の酸化電位および構造の制御
Project/Area Number |
20J12946
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 健人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Keywords | イオン性置換基 / ボラート / 双性イオン / 機能性分子 / 典型元素化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の2020年度における研究計画では、ボラヌイジル基を有する高周期典型元素低配位化学種を合成し、物性の評価を行なうことで、ボラヌイジル基の置換基効果を解明することを目標としていた。実際の研究では、ボラヌイジル基を有する双性イオン型トリアリールメチリウム塩やアクリジニウム塩およびケイ素化合物を新たに合成し、物性や反応性の評価を行なった。その結果、双性イオン型のトリアリールメチリウム塩が外部刺激に応答した色調の変化を示すことや、アクリジニウム塩が固体状態でのみ発光を示すことを明らかにした。これらの双性イオン型の色素について、単結晶X線構造解析など各種測定を行なったところ、ボラヌイジル基のイオン性相互作用に起因する特異な分子配列を示していることがわかった。この結果から、ボラヌイジル基の置換基効果として、分子内の電子的な効果のみならず、固体状態での分子間の集積構造を制御する効果があると考えられる。従って、ボラヌイジル基の新たな活用法として分子配列の制御が可能であることを示した点で本研究成果は意義深いといえる。 さらにボラヌイジル基を有する低配位ケイ素化学種の合成検討では、ボラヌイジル基を有するクロロシラン類にN-ヘテロ環状カルベン(NHC)を作用させると塩脱離を伴う求核置換反応が進行することを見出した。これは一般的なシラン類では見られない反応性であり、ボラヌイジル基を導入したことにより発現した新規な反応性であると考えられる。また、本置換反応により生成するイミダゾリオシランは更なる化学変換により多座配位性の配位場を有するアニオン性NHCへ変換できることを明らかにした。これらの一連の反応は近年注目を集めているアニオン性NHCの新規な合成法と見做せるため、合成化学的な観点から意義深い結果であると考えられる。
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|