2020 Fiscal Year Annual Research Report
順応仮説・相対仮説を考慮した主観的幸福感の交通政策利用に向けた研究
Project/Area Number |
20J13049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊谷 惇也 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 電車内混雑 / 順応 / 主観的厚生 / 交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,電車内混雑に対する不満がSWBの1つの指標である生活満足度に与える影響を,順応および相対評価を考慮して分析を行った.東京の8,296人の電車通勤者のサンプルを取得し,通勤者が電車を利用している期間によって,混雑の影響が異なるのかを分析した.またその際に,通勤者が1年前に利用していた通勤手段によって,混雑の感じ方に違いがあるのかどうか,相対的な混雑の影響についても考慮した. 研究結果として,(1)電車内混雑に対する不満は,短期間電車通勤を行っているグループの一部にのみ生活満足度に対して直接的な負の影響を有し,(2)長期・短期に関わらずすべてのグループでストレス・健康状態の悪化を通した間接的な負の影響を有していた.具体的には,混雑への不満が生活満足度に負の影響を持っていたのは,1年前はバス・車・徒歩のいずれかの手段で主に通勤していたグループのみであった.前年の通勤手段が翌年の混雑の感じ方の差を生じさせる理由として,前年の通勤手段が個人の混雑に関する参照点を決定していることが理由として考えられる.過去の通勤経験が個人の通勤の参照点を形成し,通勤者はその参照点に基づいて新たな通勤手段を評価していると考えられる.車通勤を行っていた個人は,車両内の混雑にさらされることなく,長距離通勤ができていた状態が基準となっている可能性が考えられる.こうした参照点を有している場合,車通勤から電車通勤にシフトした際に,電車内の深刻な混雑に耐えながら通勤しなければならない状況に不満を感じるかもしれない.こうした解釈が正しければ,混雑に対する不満の直接的な影響は,通勤手段を切り替えた直後の通勤者の通勤に対する参照点と新しい通勤状況とのギャップとみなすことができる.
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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