2020 Fiscal Year Annual Research Report
初代星起源の21cm線シグナル分布の見積もり及び観測データの解析手法の開発
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20J13423
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 俊行 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 初代星 / 21-cm線 / 宇宙論 / 暗黒時代 / 再電離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の本年度の研究計画は、(1)宇宙論的な21-cm線シグナルの空間分布を計算する計算コードを完成させシミュレーションを実行すること、また(2)シミュレーション結果を解析し、21-cm線観測量と初代星の性質の関係を明らかにすることである。本年度内に両計画を完遂し、その結果を国内研究会で口頭発表し、また、論文としてまとめ国際学術雑誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyにて発表した。 具体的には、宇宙論的シミュレーションのサブグリッドスケールに対応する物理過程、(ア)電離光子脱出率のハロー質量と星質量依存性、(イ)初代星からの紫外線によるガス加熱、について、詳細な輻射流体シミュレーションの結果を取り入れることで考慮できる手法を開発した。その手法を公開されている準数値的シミュレーションコードである21cmFASTに組み込み、各物理過程が21-cm線観測量へ与える影響を調査した。そのシミュレーションデータを解析することで、星から放射が水素分子を解離にすることにより星形成可能な最小ハロー質量が時間と共に増加し、電離光子脱出率の平均値が小さくなることを明らかにした。その結果、ハローから脱出し銀河間物質の電離に寄与する電離光子が減少し、宇宙の電離度が低く推移することが示された。また、宇宙の平均電離度が約1%を超える時代には、紫外線によるガス加熱の影響が無視できないことがわかった。さらに、グローバルシグナルに加え、21-cm線シグナルの空間非一様性の情報を用いることで、星質量と星形成率密度の縮退が解けることを示した。 本研究を通して、初代星が宇宙の電離に寄与する場合、宇宙論的スケールの21-cm線観測量から初代星の物理的性質を推定できる可能性があることを示した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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