2020 Fiscal Year Annual Research Report
分位点回帰分析を用いた走行時CO2排出量の精度向上とそのCAFE分析への応用
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20J13510
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 満來 九州大学, 経済学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | CAFE基準 / 分位点回帰分析 / 運転性向 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、走行時CO2排出量の推計のために消費者の運転性向を特定した。まずは、中古車に関するデータ(中古車の初度登録年、使用年数、走行距離)をハイブリッド車(プリウス)とガソリン車(プレミオ)ごとに収集、整理した。このデータを用いてハイブリッド車とガソリン車の両方で中古車の車齢を横軸、走行距離を縦軸にとり、MATALABでプログラムコードを作成し、分位点回帰分析のパラメータの推計を行った。この推計されたパラメータより、ハイブリッド車とガソリン車のドライバー間または、同エンジン種別でのドライバー間の運転性向(すなわち、使用年数1年経過に伴う年間平均走行距離の減少率)がそれぞれ大きくことなるという結果を得た。特に、同エンジン種別のドライバー間の運転性向に関して、これまでの先行研究では言及されてこず、従来の自動車LCA分析が仮定している生涯走行距離に大きなバイアスが含まれていることが明らかになった。このバイアスは結果的に自動車の走行起源のCO2排出量にも直接的に影響を与えるため、本研究では、走行時排出の推計には不確実分析を行う必要があるとまとめた。この研究成果は環境政策学のJournal of Environmental Management誌[Impact Factor: 5.647]に掲載された。 また、上記の自動車の環境政策に関する研究とともに、データ包絡分析を用いて当該車の燃費パフォーマンスを評価するだけでなく、車重の軽減・燃費向上ポテンシャルを推計し、自動車メーカーのCAFE基準の達成可能性について定量的に評価した。この論文は環境経営学のトップジャーナルであるBusiness Strategy and the Environment誌[Impact factor:5.483]にアクセプトされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画としては、2020年度は用いるデータ作成等の準備の期間に要すると思っていたが、企業の利潤最大化に関するプログラムのコード作成および、運転性向の特定を行うことができ、研究結果をジャーナルに投稿するということまでできたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は2020年度に作成したプログラムのコードを実際にデータを用いて計算をする。これと2020年度に得られた結果により、自動車の燃費政策、次世代自動車の普及とその環境政策、消費者の行動が地球温暖化に果たす役割について総合的な議論を行う計画である。
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Research Products
(2 results)