2020 Fiscal Year Annual Research Report
Structural studies of inhibition mechanism of TRPV3 target inhibitors byCryo-EM
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20J13609
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 寛人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 温度生物学 / TRPチャネル / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、TRPV3のTRPV3阻害剤の阻害機構モデルを発表することで、TRPV3をターゲットとした新規阻害剤設計に有用な情報を与えることを最終目標としていた。しかし、現在、TRPV3阻害剤そのものの性状の問題により、計画は遅延している。具体的には、水溶性が低く、阻害剤が沈殿するという問題、その際にTRPV3ナノディスク複合体が阻害剤とともに沈殿してしまうという問題を抱えている。2021年2月にサノフィ社から発表されたTRPV3-74aに関しては検証の結果、リガンド自体の性状もよいため、現在TRPV3とTRPV3-74aの複合体の構造解析系の条件を検討している。 その方針の代替として、TRPV3のリガンド選択性に関しての研究を進行している。TRPV1選択性リガンドであるレジニフェラトキシン(RTx)は、TRPV3を活性化できないことが知られているが、TRPV3に対して特定の点変異を入れると、そのTRPV3変異体はレジニフェラトキシン応答性を獲得する。これらの変異はRTx結合を行うと予想されるヴァニロイドポケット近傍には存在せず、脂質近傍に存在するため、脂質との結合状態の変化によりアロステリックに構造変化を惹起し、結合を可能にすることが予想される。TRPV3の活性化の経路を明らかとすることで、TRPV3独自の活性化機構の分子基盤を解明することを計画している。その活性化機構の分子基盤の解明に基づきTRPV3選択的リガンドの設計のための構造情報提供を目指している。 現在そのうちのF656I変異型TRPV3に関して構造解析を行っており、アポ状態の構造を3.8Å分解能で決定した状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、合成されたリガンド結合状態の構造解析を行う予定であったが、リガンド自体の性状が悪いため、構造解析を行うことが困難であることが判明した。2021年2月に発表されたTRPV3-74aと呼ばれるリガンドについて現在構造解析を行う系を構築している。本研究員は当初の「TRPV3をターゲットとした新規阻害剤設計に有用な情報を与える」という研究目的を達成するための代替手段として、TRPVファミリーのリガンド選択性に焦点を絞り、新たにレジニフェラトキシン応答性TRPV3変異体の構造解析を行うこととし、実際に実行している。その変異体の一つであるF656I変異型TRPV3について、本研究員は分解能3.8Åでの構造解析に成功し、構造から、本変異が膜貫通ドメインに対して構造変化を与えていないにも関わらず、細胞内ドメインが活性化様構造を取っていたことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はTRPV3の変異型に関してレジニフェラトキシン結合型の構造解析を行う。また、他の変異体に関しても、アポ状態、レジニフェラトキシン結合型構造を取得し、TRPV3変異体がレジニフェラトキシンを認識する機構を明らかにすることを計画している。また、TRPV3-74a結合状態のTRPV3の構造解析を試み、TRPV3と阻害剤の結合状態を明らかにしようとも考えている。
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Research Products
(1 results)