2020 Fiscal Year Annual Research Report
地球コア条件における地球深部物質の熱物性測定の精密化
Project/Area Number |
20J13665
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 暉 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 地球コア / 地球マントル / 高温高圧実験 / 熱伝導率 / ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地球全域の圧力温度条件における地球深部を構成する物質の熱伝導率並びに体積熱容量測定を通して 過去と現在の地球深部の温度構造やその熱進化の過程を解明することを目標としている。地球中心の圧力温度条 件は約 360 万気圧、5500 K 以上と推定されている。高温高圧力発生装置であるレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルと、熱伝導率測定手法であるパルス光加熱サーモリフレクタンス法を組み合わせることで、地球中心に近い高温高圧条件における熱伝導率測定に挑戦する。また、強度変調されたレーザーとダイヤモンドアンビルセル組み合わせることで、高圧力条件における体積熱容量測定の技術開発にも取り組む。 令和2年度は、地球マントルを構成するとされるMgSi03 post-perovskiteや、CaSiO3 perovskiteの熱伝導率を140万気圧2000 K 程度での高圧力高温条件下にて測定した。この圧力は地球マントル全域、地球コア最上部に相当する。なお、 これらの成果の一部は国内外の研究機関と協力し、査読付き国際学術誌に掲載・投稿されている。また、従来よ り多くの数値計算によりその値が計算されているMgO periclaseの熱伝導率測定も140万気圧2000 K程度の条 件まで達成している。この測定結果が数値計算のベンチマークとなることを期待している。また、地球コアの主成分とされる鉄の熱伝導率を140万気圧、2000K程度までの条件にて測定した。体積熱容量測定については、新しい測定装置を 0 から作成するため、1 年間をかけて備品の調達等の準備が中心 となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最大目標である地球全域条件での熱伝導率測定には至っていないものの、測定条件は確実に拡大しており、地球マントル全域条件は達成した。地球コアを構成する物質の測定については、試料の配向の変化、試料と圧力媒体やダイヤモンドアンビルとの化学反応、試料の相転移など、測定結果に重大な影響を及ぼす変化が発生し得る。しかし、技術的な改良を加えることで、これらの重大な変化がなく 80 万気圧 2500K 程度までの熱伝導率測定に成功した。以上の点から、総合的に判断して、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより地球の深部に相当する圧力温度条件を再現した実験が行うために、これまでよりも高い圧力や温度における地球深部を構成する物質の熱伝導率測定に取り組む。また、強度変調されたレーザーとダイヤモンドアンビルセル組み合わせることで、高圧力条件における体積熱容量測定の技術開発にも取り組む。
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Research Products
(1 results)