2020 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病におけるstress granule制御に関わる新規分子の解明
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20J13728
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 ひかり 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | RNA顆粒 / 超早期アルツハイマー病態 / ミススプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスモデルのアルツハイマー病態超早期に特定遺伝子のスプライシングに異常な偏りがあることを示し、さらにアルツハイマー病ヒト患者死後脳を用いて、同様なスプライシング異常がヒトのアルツハイマー病態でも共通していることを確認した。また、この特定遺伝子は機能・局在共に未知な遺伝子であったため、全長及びΔExonの細胞発現用EGFP tag付plasmidとこれらの特異抗体を作成した。実際にこの発現plasmidを用いて、局在の確認を行うと、FL及びΔExonは細胞質に顆粒状に局在することが明らかになった。しかし、その形状は明らかに異なり、ΔExonにおいてはその粒が大きい、もしくは集積しているような形態が観察された。そして、実際に発現タンパクの局在を導入直後から経時的に確認すると、顆粒状のシグナルが経時的に集積していく状態が確認できた。次に、この粒が具体的にどこに局在しているかを解析すべく、ミトコンドリアマーカー、小胞体マーカー、リソソームマーカー等を用いてその検討を行ったところ、FLタンパク質, ΔExon欠損型タンパク質は共にそれらのオルガネラには局在していないことがわかった。そしてΔExon欠損型タンパク質についてのみ、RISCタンパクと共局在し、さらにそれらはより過剰な集積を示すことが明らかになった。また、欠損型および正常型のそれぞれに特異的な抗体を作製し、これらの抗体の特異性について確認をした上で、抗体染色においても同様の局在を示すことを確認している。さらにこれらの変異タンパクを導入したRNAを用いたRNAseqにおいて実際にRISCタンパクと関連してRNA分解や貯蔵に影響を及ぼすことを示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とした機能未知遺伝子について、ミススプライシングタンパクにおけるRNA顆粒との関わりがわかりつつあり、正常スプライスプライシングタンパクにおいても予想外のisomeraseとの関わり、またその局在についても明らかになりつつある。機能解析方法という面では当初の予定と変更した部分もあり、電子顕微鏡を用いた局在の詳細な解析よりも先行して当初想定していなかった網羅的なRNAseqを行なった。ゆえに、変更点はあったものの機能解析という面での進捗状況は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
正常スプライスプライシングタンパクにおけるストレス顆粒状局在の詳細な解析を継続して進める。 また、遺伝子の一部 エクソンが欠損することタンパクの細胞内局在が変化する原因の理由として、タンパク質-タンパク質間の結合が変化していると考えられる。そこでこのスプライシング異常によるエクソンの欠損が及ぼしうる結合タンパクを、網羅的な質量分析法を用いて同定する。その後さらにその相互作用への影響を、培養細胞系を用いた解析を行う。また、これらについても細胞免疫染色等の生化学的手法を組み合わせる。これらの成果を論文にまとめ、報告すると共に、国内外の学会で発表し、議論を深める。
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