2021 Fiscal Year Annual Research Report
酵素反応の動的機構を高速にシミュレーションする手法開発とプロトン転移反応への応用
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20J13772
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 真行 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 分子動力学 / 量子化学 / 計算化学 / 酵素反応 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに開発したFMO-QM/MM-Flooding MDの酵素反応への適用として、催涙因子合成酵素LFS (Lachrymatory Factor Syntase) によって触媒される PSA→PTSO 反応へ本手法を適用した。この酵素反応はPSAのOH基のH原子が隣接するGLU88のO原子を経由し、PSAのC2原子と結合することでPTSOとなる。この反応のQM領域は60原子以上となるため、本手法がターゲットとする反応の一つである。 PSAがポケット内でsyn,antiそれぞれのコンフォメーションを取っている場合について本手法を適用し、floodingポテンシャルをかけたところ、synのみで反応が進む様子が見られた。これは反応の前半部分となるPSAからGLU88へのプロトン移動に対応し、先行研究の結果と一致していた。一方、antiから開始するとsynへと構造変化する様子が見られた。反応開始にはポケット内でanti→synの遷移が必要なため、これは反応の前段階の構造変化に対しても本手法が有効であることを示している。 synから開始して得られた構造に対する新たなfloodingポテンシャルを追加したところ、反応後半に対応するGLU88からPTSOへのプロトン移動が見られた。これにより、反応座標の事前知識なしに反応を再現できることを確認できた。また得られた反応経路に沿ったエネルギー解析を行ったところ、先行研究で報告されているエネルギー障壁と近い値が得られた。 さらに計算コストを従来のQM法と、HFおよびB3LYPで比較した。レベルの低い基底関数ではオーバーヘッドの関係で従来のQM法の方がコストが低かったが、6-31G(d)以上では本手法がQM法のコストを下回った。そのため本研究で対象としたサイズ以上の計算量を要求する酵素反応においては、本手法が計算コストの面で有用であると言える。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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