2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマノイドによるロープを道具として用いる多種全身移動動作実現
Project/Area Number |
20J13773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板東 正祐 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 等身大ヒューマノイド / 全身動作生成 / 懸垂降下 / 高所作業動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は計画した研究目標の中で、ロープを道具として用いる作業の全身動作生成に焦点を当てて研究を行った。従来の等身大ヒューマノイドが実現してきた動作は主に地上に立っている状態を前提とした動作であるが、ロープを移動手段として用いることにより災害時などの地面が不安定な環境でも作業を行うことが可能となる。具体的なロープを移動手段として用いる全身動作として、等身大ヒューマノイドによる懸架状態における壁面清掃作業実現および、懸架状態における特殊姿勢を取る作業動作実現を行った。 懸架状態における壁面清掃作業実現では、ヒューマノイドの肩の部分にロープを接続し吊り下げた状態で四肢の姿勢を適切に制御し、壁面に足裏をついた状態で把持した清掃具で壁面の清掃を行うという動作を実現した。ロープに吊り下げられた状態で行う作業では、四肢の動作に応じて重心位置が変わり胴体の姿勢が変化してしまうため、胴体の姿勢の変化を考慮した作業動作の生成手法を開発した。 懸架状態における特殊姿勢を取る作業動作実現では、ヒューマノイドの腰の部分にロープを接続し直立状態から仰向け状態やうつ伏せ状態への遷移を行い、その状態での作業を実現した。仰向け状態などを取ることが可能になることにより通常ではアプローチ困難な形状をした環境に対しても作業を行うことが可能になる。そのための遷移動作生成手法として、ヒューマノイドの重心位置を四肢の姿勢によって制御し、意図した仰向け角度を実現する手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロープを道具として用いる全身動作生成は本研究課題の中核を担う部分であり、本年はその部分の具体的な手法開発について進展があった。ロープを用いる具体的な動作として従来実現されていない、空中における作業動作を選択しその実現に取り組んだ。ロープから受ける張力を考慮し、四肢の姿勢を通してヒューマノイドの重心位置を制御することによって意図した姿勢を維持する手法を開発し、実機実験を通じて実際に生成した全身動作が実行可能であることを検証した。特に懸架状態における空中での全身動作が実現できた点は大きな進捗であると考える。 また、ロープの取り付けなどをヒューマノイド自身が行うことを目指し、ロープマニピュレーションに適したハンドの開発にも着手した。ベースとなるDynamixelサーボを用いた3自由度ハンドを開発し、そのハンドを用いたマニピュレーションおよび搭載予定の掌内部回転関節の詳細な仕様決定に向け、必要な情報の推定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究状況を踏まえて、ロープマニピュレーションに適した掌内部回転関節を有するハンドの開発を行う。製作したベースとなる3自由度ハンドに回転関節を追加し、マニピュレーション性能に与える影響などを評価し、目標とするロープのような柔軟物を結びつけるといった動作の実現を目指す。 また、すでに開発したロープを用いた各種全身動作(懸垂降下、空中作業、急勾配斜面登坂など)をひとつの動作生成システムの枠組みにまとめ、環境の情報から適切な全身動作を選択し生成するアルゴリズムの開発にも着手する予定である。 また、開発した全身動作生成手法は、既知の環境情報からオフラインで全身動作を生成する手法であるため、外乱や測定誤差を考慮できていない。そのため実行するロープを用いた全身動作の安定性を高めるために、ロープの状態を情報としてオンラインで利用する安定化制御についても研究を行う。ロープの張力は剛体から受ける反力とは性質が異なるため、その部分に焦点を当てた安定化制御の実装を行う。
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