2020 Fiscal Year Annual Research Report
グアニン四重鎖と結合する新規タンパク質の同定を目的としたリガンドの創製研究
Project/Area Number |
20J13814
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 捷悟 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任助教
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖 / トポロジー / 大環状ヘキサオキサゾール / G4 / G4リガンド |
Outline of Annual Research Achievements |
グアニン豊富な一本鎖領域において、グアニン四重鎖 (G4) と呼ばれる特殊な高次構造が形成される。G4は四つのグアニンから成るG-quartet平面が積層することで形成される。G4は生体内において三種の基本トポロジーを形成可能であり、近年では各々の構造が対応するタンパク質と結合することで生命現象の制御を引き起こすことが推測されている。しかし、現在報告されているG4形成可能配列はゲノム上に70万カ所存在することが報告されているが、G4結合タンパク質は30種類程しか報告されていない。そのため、詳細なG4由来の生命現象を解析するためには、当該G4の各トポロジーに結合するタンパク質の同定が必要である。そこで申請者は、各トポロジーを選択的に誘起しタンパク質を回収可能な官能基を有するG4リガンドの創製を行い、そのリガンドを用いて各トポロジーを認識して結合する新規タンパク質の同定を目的とした。この目的を達成するために、まず初めに各トポロジーを選択的に誘起するG4リガンドの創製を計画した。申請者は、各G4トポロジーごとで側鎖に存在する溝 (グルーブ)が異なることに着目し、G-quartet平面およびグルーブの二点認識可能なリガンドの創製を計画した。その結果、 2020年度において、カリウム存在下のテロメア配列を三種のトポロジーの一つであるアンチパラレル型選択的に誘起する鎖状型化合物の創製に成功した。この結果は2020年にRSC Advancesに報告した。これにより、第一の目的である各トポロジーを選択的に誘起するG4リガンドの創製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、各トポロジーを選択的に誘起しタンパク質を回収可能な官能基を有するG4リガンドの創製を行い、そのリガンドを用いて各トポロジーを認識して結合する新規タンパク質の同定を目的とした。目的を達成するためには、まず各トポロジーを選択的に誘起するG4リガンドの創製が必要である。そこで、申請者は今年度においてリガンド合成に注力した。 G4を構成する因子はG-quartet平面、ループ、グルーブ (溝)が存在し、ループおよびグルーブは各トポロジーのG4で異なることが知られている。一方でG-quartet平面はG4の共通骨格であるが、G4の安定化能に寄与することが知られている。そこで申請者は今回、望むG4リガンド創製のために、G-quartet平面およびグルーブの二点と相互作用するリガンド設計を計画した。申請者はこれまでにG-quartet平面を標的としたG4リガンドの創製を行なっており、G4を選択的かつ強力に安定化する大環状ヘキサオキサゾールの創製に成功している。これら知見を基に、大環状ヘキサオキサゾール骨格の基盤としたリガンド創製を行った。その結果、側鎖に四つのアミノ基を有する鎖状型ヘキサオキサゾール化合物がG4形成配列であるテロメア配列を選択的に一つのトポロジーに誘起することを見出した。この結果は2020年にRSC Advancesに報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は、2020年度において各トポロジーを選択的に誘起するG4リガンドの創製に成功した。そこで次に、目的とする新規G4リガンドを用いた各トポロジーを認識して結合する新規タンパク質の同定を計画する。
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Research Products
(2 results)