2020 Fiscal Year Annual Research Report
繰り込み群と情報幾何に基づいたAdS/CFT対応の研究
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20J13836
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山代 和志 静岡大学, 自然科学系教育部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 場の量子論 / 量子情報理論 / 超弦理論 / ゲージ重力対応 / 行列模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、AdS/CFT対応の下で、境界の場の量子論側で計算される量子情報計量が双対な重力側でどのような幾何的解釈を与えるか調べた。ここでは、あるCFTとそのCFTから摂動された理論の基底状態間の微小距離を測る量子情報計量を考える。この時、量子情報計量は摂動を与えた演算子の 2 点関数で記述される。一方、重力側ではで摂動を与えた演算子に双対な物質場のAdS時空上でのオンシェル作用を考える。このオンシェル作用は、アインシュタイン方程式を解くことでAdS時空へのバックリアクションによって記述できる。これらは、GKP/Wittenの関係式より十分に重力の古典近似がよい場合、場の量子論で計算された量子情報計量を双対なAdS幾何に対するバックリアクションで表す公式を発見した。この公式は摂動の種類に依らない普遍的なものである。この結果は、ゲージ重力対応における情報幾何とバルク幾何との関係を明らかにするための大きな進展を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報幾何を定義するための量子情報計量が双対な重力側で与える幾何的解釈を得られたことは、情報幾何とバルク幾何との関係を明らかにするための大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
次の2つの課題に主に取り組む。1つは、量子情報計量とバルク幾何との間の公式の拡張を行う。より一般的なゲージ重力対応の場合への拡張は、量子重力の効果を得るために重要である。2つ目は、厳密繰り込み群に基づいたスケール依存した基底状態を構築する。これは量子状態で定義される量子情報計量のバルク幾何との対応を直接見ることが目的である。
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