2021 Fiscal Year Annual Research Report
オプトメカニクスに基づく高感度・広帯域な核磁気共鳴測定法の開発
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20J14033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨永 雄介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | オプトメカニクス / NMR / ハイブリッド量子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は主に以下の二つである. 第一に,機械振動子を組み込んだ光共振器を安定化したことである.光-機械結合を強化するためには,共振器に入射するレーザーパワーを強くする必要があるが,鏡として薄膜上に蒸着した金属を用いると,レーザーの一部は金属に吸収され,熱に変換される.そのため,光を強くすると光共振器が不安定化し,高感度な信号検出やレーザー冷却を妨げることになる.本研究では,薄膜上に蒸着金属ではなく,メタサーフェスと呼ばれる構造を組み込みこれを鏡として用いることで,鏡による光の吸収を小さくした.メタサーフェスとは,レーザーの波長程度の周期で穴を開けた構造であり,特定の波長の光を高い反射率で反射することができる.この結果,薄膜の振動測定を長時間,安定的に行えるようになったことを実験的に示した.さらに,電気-機械-光結合を解して電気信号を光変換した.この成果はApplied Physics Expressに掲載された. 第二に,小型な電気-機械-光変換モジュールを自作し,超伝導磁場中に系を構築したことである.通常,光学系は安定に組むために大型の定盤上でアライメントされるが,本研究では化学分析で用いられる核磁気共鳴法(NMR)への応用を考えて,超伝導磁場内の限られた空間でアライメントできる機構を備えた電気-機械-光結合系を設計した.作成した装置を用いて実際にINEPT法によって磁化を移動した炭素13のNMR信号を取得することに成功した.この成果はAnalystに掲載され,Analyst HOT Articles 2022に選ばれた. これまでオプトメカニクスは物理学的観点から研究されてきたが,以上の一連の研究は,高感度な化学分析手法への応用の道を開いたといえる.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)