2020 Fiscal Year Annual Research Report
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20J14152
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
横溝 陵 東京慈恵会医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮内膜再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜上皮細胞の選択的な培養を行うための条件設定を行った。はじめに子宮内膜組織からの上皮と間質の分離、及びその後の培養のためのプロトコールの確立のための条件検討実験を行った。具体的には、セルストレーナーを用いた細胞サイズによる分類、及び子宮内膜上皮細胞と子宮内膜間質細胞それぞれに選択性を持つ培養液を用いることで細胞の分類を行った。これらの分類の精度を確認するために、HE染色による形態学的観察や細胞表面マーカーを対象とした免疫蛍光染色を行った。更にホルモン応答性を評価するために、脱落膜反応(性周期による子宮内膜の形態学的及び遺伝子発現変化)を惹起し、形態学的評価及びreal time RT-PCR法を用いて遺伝子発現解析を行った。これらの実験を通じて、子宮内膜上皮細胞及び間質細胞の培養実験に関する条件検討を行った。 次に、倫理委員会承認の下、事前に同意を得た上で子宮摘出した患者から子宮内膜組織を採取し、子宮内膜上皮細胞に関する培養条件の検討実験を行った。培養に際しては、フィーダー細胞との共培養により培養効率の向上を目指した。フィーダー細胞としてはマウス胚由来線維芽細胞、ヒトES細胞由来細胞、同一患者由来子宮内膜間質細胞を用いた。結果として、既報では1回しか継代培養できなかった子宮内膜上皮細胞に関して、フィーダー細胞を用いることで効率的に培養可能となり、ヒト由来フィーダー細胞の中では子宮内膜間質細胞が最も良いフィーダー活性を示した。また、培養細胞の特性解析としてホルモン感受性試験、免疫染色を行い、子宮内膜の特性が維持されていることを確認した。 さらに、子宮内膜上皮細胞と間質細胞を用いて3次元培養を試みたところ、上皮としての特性を維持した子宮内膜モデルすなわち子宮内膜シートを作成できた。 これらの成果について、国内外の学術集会における発表及び論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は第1年度として、子宮内膜上皮細胞の長期継代培養と子宮内膜シートの作成に取り組むとともに、患者由来月経血細胞の培養に取り組んだ。子宮内膜上皮細胞の培養については、フィーダー細胞と共培養することでこれまで培養困難だった子宮内膜上皮細胞について約4ヶ月に渡り培養することが出来た。また、培養子宮内膜細胞を用いて3次元培養を行い、機能性を維持した3次元培養モデルすなわち子宮内膜シートを作成することが出来た。これらの成果について、36th virtual Annual Meeting of the European Society of Human Reproduction and Embryology及び第20回日本再生医療学会総会で発表するとともに、Stem Cell Research & Therapy誌に掲載された。さらに現在は患者由来月経血細胞の培養に取り組んでいる。これらの成果を考慮するに、研究進捗状況は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は前年度の研究成果を活かし、確立できた子宮内膜上皮細胞の継代培養に関するプロトコールを用いて、患者由来月経血細胞の培養に取り組む。すでに倫理審査委員会による審査及びインフォームドコンセントを得た上でヒトの月経血サンプルの提供を受け、培養条件の検討を行っており、今後細胞増殖能や遺伝子発現、ホルモン応答性、3次元培養モデルの構築の可能性について検証を進めていく。
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