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2020 Fiscal Year Annual Research Report

暗黙理論の文化差生成・維持メカニズムの検討

Research Project

Project/Area Number 20J14163
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

鈴木 啓太  東京大学, 東京大学大学院 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2022-03-31
Keywords暗黙理論 / マインドセット / 教育制度
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、能力の可変性に関する信念である暗黙理論の文化差が生成・維持されるメカニズムを検討することである。暗黙理論はモチベーションの維持を通じて、私たちの種々の課題達成に影響を与えるため、それが文化的に生成・維持されるメカニズムは心理学で明らかにすべき重要な問題である。成果最大化のための課題選択方略が暗黙理論によって異なるという申請者がこれまでに明らかにしてきた知見(能力は可変的にとらえる増加理論者は特定の課題に注力しやすく、能力は固定的と捉える実体理論者は適性のある課題を探索する)に基づき、個人は自分の置かれた環境における課題変更の容易さに応じて、有利な課題選択方略を導く暗黙理論を形成することで、特定の暗黙理論が生成・維持されるという仮説を検証した。
研究1では課題選択方略の背景にある努力観の差異を検討した。試験に失敗した生徒に対し、参加者に先生の立場から助言を行わせるシナリオ実験を行った。増加理論者は生徒の努力量に関わらず助言の程度は変わらなかったが、実体理論者が科目の変更を助言し、継続の助言をやめたのは生徒が努力を十分に行った場合のみで、努力が不十分な場合は科目継続を助言していた。これは実体理論者が努力を適性評価のための情報と捉えていることを示唆する結果である。研究2では、教育制度における課題変更の容易さに着目し、どのような教育制度のもとで暗黙理論が有効になるかを検討した。授業制度や暗黙理論を自己報告で回答する調査を実施した結果、斉一性の高い授業(決まった課題をこなす授業が多い、等)が多い環境にいた増加理論者は学校の生活満足度が高く、その結果成績が高くなることが明らかになった。これは課題変更の容易さが暗黙理論の有効性を規定することを示しており、課題変更の容易さが暗黙理論の生成・維持につながっている可能性を示唆するものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

報告者は当該年度において研究1:課題選択方略の背景にある努力観の差異の実験的検討、研究2:教育制度における課題変更の容易さと暗黙理論が学業に与える影響の2つの研究を進捗させてきた。研究1は学会発表を行い、現在投稿審査中である。研究2は今年度の学会で発表を行う予定で有り、それぞれ概ね順調に進展している。一方で、当該年度に実施予定だった実験室実験(次セクション研究A)は新型コロナウイルス感染症の影響で実施を延期せざるを得なかった。一方でオンライン調査や論文執筆等、感染症の影響の少ない領域で研究を進捗することができた。

Strategy for Future Research Activity

前年に実施した2つの研究を発展させる実験・調査について受入研究者とともに実施が進んでいる。具体的には、研究Aでは申請者が明らかにしてきた複数課題場面における課題選択方略の知見を、先行研究の問題点を克服した上でより精緻に検討する。研究Bでは、二次分析やオンライン調査を用いて、それぞれの方略を有利にする社会環境の検討を通じて、暗黙理論が維持されるメカニズムを明らかにすることを目指す。研究Aについては実験室実験を行うべくプログラミング等の準備を進めているが、新型コロナウイルス感染症の動向を踏まえ、オンライン実験を行うためにプログラムの修正を行なっている。研究Bについては、高校生を対象にOECDが実施した学習到達度調査(PISA)のデータの二次分析を現在実施中である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 学級における受容的風土が生徒の暗黙理論の形成に与える影響2020

    • Author(s)
      鈴木啓太・正木郁太郎
    • Organizer
      日本心理学会第83回大会
  • [Presentation] ”一生懸命にやってみるまで分からない”:情報としての努力を重視する実体理論者2020

    • Author(s)
      鈴木啓太・村本由紀子
    • Organizer
      日本社会心理学会第61回大会
  • [Remarks] 鈴木啓太(SUZUKI Keita)HP

    • URL

      https://sites.google.com/view/plantogousouth/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?authuser=0

URL: 

Published: 2021-12-27  

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